モッツァレラなど、パスタフィラータタイプに合わせたいおすすめパン/チーズを美味しく食べるパン選び vol.2

モッツァレラ

チーズとパンにフォーカスし、より美味しく愉しむ組み合わせ、食べ方等をご紹介するこの連載。第二回目のテーマは、パスタフィラータタイプです。

聞き慣れない言葉ですが、実はこのタイプ、皆さんにとても馴染みのあるチーズです。例えば、モッツァレラチーズやさけるチーズ、ブッラータ、カチョカヴァッロ、プロヴォローネ等のイタリアチーズがこれに当てはまります。

パスタフィラータの“パスタ”は“生地”、“フィラータ”は“糸を紡ぐ、引き伸ばして繊維状にする”という意味で、チーズ製造時、生地を湯の中で伸ばして繊維状の組織を作って成形するチーズの総称で、南イタリアでよく見られるタイプです。繊維状の組織なので、糸を引くように裂けること、加熱するととてもよくのびるのが特徴です。そんなパスタフィラータタイプのチーズに合わせたいパンをご紹介します。

加熱して楽しみたいカチョカヴァッロ&プロヴォローネには、濃厚な味わいのフォカッチャがおすすめ

ひょうたん形がユニークな南イタリアのチーズ、カチョカヴァッロ(カチョカバロとも)。そして、北イタリアで作られる大型チーズのプロヴォローネ(プロボローネとも)。どちらもパスタフィラータ生地の水分を切って熟成させたチーズです。

カチョカヴァッロ

どちらのチーズも薄く切ってそのままつまんだり、サンドイッチにしても良いのですが、なんといってもおすすめなのが加熱調理。加熱することで長くのびるので視覚的にも食欲を刺激しますし、実際、とろ~りと溶けたチーズはなんとも美味。

そんな加熱したパスタフィラータチーズに合わせたいのが、フォカッチャ。フォカッチャにチーズをのせてトーストしたり、横半分にスライスしたフォカッチャではさんで焼いたり、フライパンでチーズを焼いてとろりとしたところをフォカッチャにのせたり…。焼いて味わいが濃厚になったチーズと、オリーブオイルをたっぷり吸ったコクのあるフォカッチャは、バランスもばっちり。また、水分や油分をしっかりと吸収してくれるフォカッチャ生地は、溶けたチーズとの馴染みが抜群です。

フォカッチャ

■ペアリングのポイント
・ルーツを揃える(チーズもパンもイタリアルーツ)
・味わいとそのボリューム感を揃える(両方とも油脂を感じるやや濃厚な味)
・チーズとパンの一体感(溶けたチーズをしっかりと受け止める吸収の良いパン生地)

水分の多いモッツァレラには、チャバタがおすすめ

日本でもおなじみ、イタリアのフレッシュチーズ、モッツァレラ。そのままスライスしてカプレーゼ等のサラダにしたり、ピッツァのトッピングにするのがポピュラーな食べ方ですね。

モッツァレラ

そんなモッツァレラを合わせるなら、イタリアパンのチャバタがおすすめ。水分の多いモッツァレラをはさんでもべちゃっとなりにくい組織、そしてチャバタのシンプルながらも飽きの来ない味は、あっさりとした味のモッツァレラと違和感がありません。また、チャバタもモッツァレラも、柔らかくしなやかな質感。その質感が揃うことで、一緒に食べた時のなじみの良さも抜群です。

チャバタ

美味しいモッツァレラが手に入ったら、野菜や生ハム等と一緒にチャバタではさみ、イタリア風サンドイッチのパニーニはいかがでしょう?

■ペアリングのポイント
・ルーツを揃える(チーズもパンもイタリアルーツ)
・味わいのバランスを揃える(両方ともあっさりシンプルな味)
・食感・質感を揃える(両方ともしなやか)

クリーミーで濃厚な味わいのブッラータには、リッチなブリオッシュがおすすめ

ここ数年でグンと知名度&人気の上がっている、ブッラータ(ブラータとも)。モッツァレラで作った袋の中に、ストラッチャテッラ(裂いたモッツァレラと生クリームを合わせたもの)をたっぷりと詰めたなんとも魅惑的なフレッシュタイプチーズです。

ブッラータ

モッツァレラのさっぱり感とストラッチャテッラのクリーミーさを同時に堪能できるのが魅力ですが、そのクリーミーで濃厚な味わいと合わせるなら、それに負けないリッチさを持つ、ブリオッシュやクロワッサンがおすすめ。特にブリオッシュは、その柔らかな質感がブッラータの柔らかさと良く馴染みます。

ブリオッシュ

また、ブッラータとブリオッシュ、両方ともフルーツとの相性が良いので、ブリオッシュ+ブッラータ+フルーツで、まるでデザートのような楽しみ方もできます。

■ペアリングのポイント
・味わいとそのボリューム感を揃える(両方とも乳脂肪たっぷりでリッチな味)
・相性の良い食材が同じ(両方ともフルーツや甘みと好相性)
・食感・質感を揃える(両方とも柔らか)

以上、意外に身近なパスタフィラータタイプとパンの相性をご紹介しました。

ポイントは、揃えること。香りや味、味わいの強さや濃さ、質感、産地等、チーズとパンにどこか共通点を持たせるとそこがつなぎ役となってくれるので、合わせた時に一体感が生まれ、さらに相乗効果も期待できます。ここでご紹介したのはあくまでも一例です。ぜひご自身でも、より美味しい組み合わせを見つけてみて下さいね!

小笠原由貴さん
チーズライター・パン教室「ラ・ナチュール」主宰
旅行会社勤務を経て渡米。料理修行を通し、地産地消、オーガニック、素材を活かした料理を知る。帰国後、レストランやチーズ専門店で働いた後、パン教室をオープン。質の良い食材を求めて、お取り寄せするのはもちろん、国内外の生産者を実際に訪ねている。また、チーズセミナーの講師を務めたり、記事執筆を行う。スウェーデンMATEUS社の食器を販売する“La Table”も運営。

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モッツァレラ

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旅行会社勤務を経て渡米。料理修行を通し、地産地消、オーガニック、素材を活かした料理を知る。帰国後、レストランやチーズ専門店で働いた後、パン教室をオープン。Simple & Natural をモットーとするレシピに質の良い食材は欠かせず、美味しいものを求めて、お取り寄せするのはもちろん、国内外の生産者を実際に訪ねている。また、チーズセミナーの講師を務めたり、チーズについての記事を執筆。スウェーデンMATEUS社の食器を販売する“La Table”も運営。