バターサンド人気の先駆け!北海道産生乳バターが香る「マルセイバターサンド」誕生物語と進化/人気店の定番スイーツ vol.34

マルセイバターサンド 六花亭
平岩理緒さん
スイーツジャーナリスト
スイーツ情報WEB「幸せのケーキ共和国」主宰。スイーツジャーナリストとして全国銘菓に精通し、TV・雑誌等各メディアで発信。「All About」スイーツガイドも務める。イベント企画や司会、企業や自治体のスイーツ開発など幅広く活動。セミナーや製菓系学校での講師も務める。TVチャンピオン「デパ地下グルメ選手権」優勝。著書に『東京最高のパティスリー』(ぴあ)、『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』(KADOKAWA)等。『厳選スイーツ手帳』・『厳選ショコラ手帖』(世界文化社)を監修。

長年愛される「定番」スイーツ紹介の連載、第34回は、今のバターサンドブームの先駆けとも言える「マルセイバターサンド」をご紹介します。言わずと知れた人気商品ですが、オンラインショップ限定バージョンも登場していて話題です。

マルセイバターサンド 六花亭 店舗

あのロングセラー商品誕生の秘密

北海道・帯広の老舗菓子店として全国的に知られる「六花亭」は、1933年に創業。当時は「帯広千秋庵」という屋号でしたが、1977年に社名を「六花亭」に変更。その記念として発売したお菓子が、今も多くのファンに愛される「マルセイバターサンド」でした。

マルセイバターサンド 六花亭 断面

ビスケットには「六花亭」専用の小麦粉を使用。挟んでいるのは、ホワイトチョコレートとラム酒漬けのレーズン、北海道産生乳100%で作られるバターを合わせたクリームです。

最近はバターサンドがブームですが、「六花亭」の「マルセイバターサンド」は、ホワイトチョコレート入りならではのミルキーなコクとしっかりした食感のクリームが印象的です。

実は「六花亭」は、1968年に日本で初めてホワイトチョコレートを製造、販売した会社なのです。今や、北海道土産の定番であるホワイトチョコレートを使ったお菓子のルーツだったのですね!

「マルセイバターサンド」の名称と、「○」の中に「成」の字が入り「バ・タ」の字がそれを挟むデザインのパッケージ。これらは、明治16年(1883年)、静岡県から現在の帯広市へ移民入植し、“十勝開拓の祖”と呼ばれる依田勉三氏率いる「晩成社」の事業に由来しています。

マルセイバターサンド 六花亭 パッケージ

彼らは、十勝原野の開拓を進め、3年後に牧場も開設。牛肉やバターを製造し、函館や東京で販売したそうです。「六花亭」の「マルセイバターサンド」の名前は、「晩成社」が製造したバターの商標「マルセイバタ」にちなんだもので、パッケージも、そのラベルを模したデザインとなっています。

オンラインショップ限定の冷凍版はサクサク感がUP!

オンラインショップ限定で、「冷凍マルセイバターサンド」も発売され、話題となっています。

マルセイバターサンド 六花亭 冷凍版

これまでは、日持ちが製造から9~10日程度でしたが、-18℃以下の冷凍保存で約23日間と長くなりました。食べたい時に食べたい個数を、好みの固さに解凍して食べることができます。

製造してすぐに冷凍されるため、ビスケットも作りたてのサクサク感が保たれているのが特徴。私も、イメージしていた食感と違っていたので、あれっと驚きました。

25℃ほどの室温で2時間ほどか、冷蔵庫で4~5時間ほど解凍してすぐに食べると、かなりサクサク。解凍後、25℃以下の涼しい場所で3~4日置いておくと、ビスケットがよりしっとりします。

「冷凍マルセイバターサンド」は、簡易なパッケージで気軽に購入できる4個入もありますが、24個入は、1961年以来、「六花亭」のパッケージデザインとして親しまれている、画家・坂本直行氏が描く北海道の山野草を配した花柄の水色ボックス入り。ギフトにしても喜ばれますし、自家用で注文した際も、箱を大切に取っておきたいですね!

マルセイバターサンド 六花亭 箱

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マルセイバターサンド 六花亭

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スイーツ情報WEB「幸せのケーキ共和国」主宰。スイーツジャーナリストとして全国銘菓に精通し、TV・雑誌等各メディアで発信。「All About」スイーツガイドも務める。イベント企画や司会、企業や自治体のスイーツ開発など幅広く活動。セミナーや製菓系学校での講師も務める。TVチャンピオン「デパ地下グルメ選手権」優勝。著書に『東京最高のパティスリー』(ぴあ)、『まんぷく東京 レアもの絶品スイーツ』(KADOKAWA)等。『厳選スイーツ手帳』・『厳選ショコラ手帖』(世界文化社)を監修。