
スイーツジャーナリスト
長年愛される「定番」スイーツ紹介の連載、第47回は、中国料理の名店より、人気の「月餅」をご紹介します。「中秋」には欠かせない伝統菓子。2022年に「中秋の名月」が見られるのは9月10日。通年販売品だけでなく、この時期にしか入手できない限定品もあります。お月見のお供にいかがでしょうか?

日本最古の中国料理店の創業当時と現在
「聘珍樓(へいちんろう)」は、幕末の開港より国際色豊かに栄えた横浜の街で、1884年(明治17年)に中華街大通りに創業した老舗。日本に現存する最古の中国料理店とされています。
横濱本店は2022年5月に惜しまれながら閉店しましたが、東京や大阪などの店舗をはじめ、百貨店の食品売り場でもお惣菜や中華まんが人気です。
サイズも種類も様々、「聘珍樓」で人気の「月餅」
中国では、陰暦8月15日の「中秋節」に「月餅」を食べる習慣があります。この時期には、お供えや知人への贈り物として月餅が大々的に販売され、「ムーン・ケーキ」とも呼ばれ世界中に浸透。中でも、広東の月餅は有名です。

月餅の由来には様々な説がありますが、平たい円形は月の形に見立てていると共に、一家の“円満”を祈る意味も込められています。本来は、大きなサイズを人数分に切り分けて皆で食べるものです。

「聘珍樓」でも月餅は大人気で、通年販売されています。本格的な広東式の製法で、熟練の職人技でザラメを丸一日煮詰めて作った糖蜜を1週間寝かせた後、蜂蜜、白絞油、小麦粉を混ぜてこねて作る薄い皮が特徴。
切り分けるのにぴったりの「大月餅」から、1人分サイズの「小月餅」、2-3口で食べられる可愛らしい「ミニ月餅」もあります。
「豆沙」は「黒あん」で、竹炭入りの小豆のこしあんの月餅。「蓮蓉」は「蓮の実あん」で、薬膳では心を養い不眠などによいとされる「蓮の実」粉末入りあんの月餅。「栗蓉」は「栗あん」で、栗の形が可愛らしく、栗あんの中に粒々の刻み栗入り。
「五仁」は「7種の実入り」で、刻んだアーモンド、カシューナッツ、クルミ、レーズン、オレンジの皮、もち米、あんずがぎゅっと閉じ込められていて、様々な味わいや食感が楽しめます。

「麻蓉」は「胡麻あん」で、「ミニ月餅」にしかなく、黒胡麻あんの中に白胡麻の粒々入りの香ばしいフレーバーです。

毎年大人気の中秋限定の月餅ギフト
さらに「聘珍樓」では、中秋の時期限定で、お月様に見立てたアヒルの塩漬け卵黄が丸ごと一個入った伝統の「中秋月餅」を、昔ながらのレシピに忠実に作り続けています。
「香港聘珍樓」で販売される中秋限定月餅と同じボックス入りギフトが日本にも登場。2022年は8月20日から期間限定で販売されています。

「聘珍樓」の刻印入り「蛋黄豆沙大月餅(塩漬卵黄入 黒あん月餅)」は、こしあんの中に塩漬け卵黄が丸ごと一個入った豪華な大サイズ。

「蛋黄蓮蓉大月餅(塩漬卵黄入 蓮の実あん月餅)」は、しっとりした蓮の実あんに塩漬け卵黄入りです。

2022年の中秋には、香港聘珍樓では定番の人気商品「蛋黄奶皇月餅(カスタード月餅)」も新登場。淡い黄色のカスタードあんの中に、粒々感を残して刻んだ塩漬けのアヒルの卵黄が入った、小ぶりながら食べ応えのある月餅です。

食べる時に、電子レンジやオーブントースターでほんの少し温めても、より香りが立ち、味わい深くいただけます。中国茶を合わせていただくと、より本格的な雰囲気が楽しめますよ。