まるで本物!和菓子でできた抹茶碗でお茶を点てて楽しみおいしく味わう

茶寿器(化粧箱) 京菓子司 甘春堂
白木あきこさん
(グルメサイト「追求!美食道」主宰)
「自然・安全・健康」をベースに美と食をコーディネート。京都を愛し東京に恋をする京女で、餃子から一流フレンチまで美味しいと聞けばひとりでも飛んでゆく真性食いしん坊。「幸せになれる美味」を求めて、2000年に女性の視点からのグルメガイドサイトを立ち上げる。

いつ手にとっても、そのたびに感心してしまう。味わう前に触り、その重みを確かめ、ひっくり返したり、目をこらししげしげと眺めたりと、そんなことを儀式のように繰り返してしまう。そんなお菓子はそうありません。この美しい抹茶椀がお菓子でできているなんて本当に凄い、と何十年たっても毎度見惚れてしまいます。

江戸時代から作り続けられているという甘春堂さんの「茶寿器(ちゃじゅのうつわ)」は、108歳を祝う「茶寿」を名に冠したいかにもおめでたい京菓子。もとは特別な祝宴のためにだけ作られていた献上菓であったといい、実際に数回お茶を点てていただくことができます。

高級感のある黒い紙箱も素敵ですが、桐箱入りなど贈答用にいくつか種類があり、「器」だけでなくお茶にあわせる干菓子がセットされているのも心憎いのです。そしてもちろん、お菓子でできているのですから最後には味わえるわけで、点てた茶が抹茶色にしみ込んだ、なかなか頑丈にできた器を割るのも一興。

原料のひとつには山芋が使われています。しっとり、ふっくらとした和菓子に使われる印象の強い山芋ですが、あの粘りを生かし乾燥させることで、茶を点てることができるほどの固さを形づくることができるのでしょうか。和三盆蜜で描かれた繊細な紋様含め、長年受け継がれた知恵と匠の技には驚かされるばかりです。

ふわっと香るニッキにも、ああ、京都らしいなぁとにんまりしてしまいます。ひとさまに差し上げることもありますが、私は自家用に求めることが多いです。わが家では日常的にお薄をいただきますので、たまに「甘春堂さんのアレ」で趣向を変えたくなるのです。高級なお品ではありますが、しばらく楽しめますからお値打ちだと思います。

まさに五感が刺激される、こんな遊び心あふれるお菓子はそうありません。春、花見がてらの野点にもぴったりです。秀吉ゆかりの豊国神社近くのお店には甘味処があって、私も帰郷時に時折伺います。上洛の折にはぜひ、歴史と東山の空気を感じながら「甘いもん」を召し上がってみてくださいね。

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茶寿器(化粧箱) 京菓子司 甘春堂

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