
スイーツジャーナリスト
6月1日は全国的に鮎釣りの解禁日で、いよいよ若鮎の季節です。伝統的な鮎漁として知られる「鵜飼」も、夏が本番。岐阜市を流れる長良川も、鵜飼のシーズンは大勢の観光客でにぎわいます。祖母が岐阜の出身だったので、私も子供の頃に家族で鵜飼を見にいきました。暗い川面に篝火が映る幻想的な風景が、おぼろげに脳裏に焼き付いています。
明治41年(1908年)創業の和菓子店「玉井屋本舗」は、そんな鵜飼観覧船待合所から続く通り沿いの、古い町屋の風情を残す川原町のお店です。こちらの初代が、薄いカステラ生地で求肥を包み鮎の姿を模った「登り鮎」を考案しました。この伝統的な鮎菓子もルーツを調べると面白いのですが、今回ご紹介するのは、このような地元の歴史を踏まえた、言わば“ネオ和菓子”です。
鵜飼とは逆に、鮎が鵜に食らいつく様子を象った斬新でユーモラスなデザインが、その名のとおり、まさに下剋上!鮎は和三盆糖味。鵜が2種類、抹茶味と黒糖味の小サイズが2個ずつ入った箱の他、抹茶味か黒糖味の大サイズが1個ずつ入った箱や、好評を受けて登場した大容量入りの「下剋上鮎・献上箱」もあります。
このお菓子は、明智光秀が主役で岐阜が舞台となった2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』に合わせて、2019年12月に発売されたもの。中の説明書にも、先祖代々1300年以上、鵜に呑み込まれ続けてきた鮎が明智光秀の如く謀反を企てる物語が記され、キャッチコピーは「いつまでも、食われてばかりじゃいられない。」と、思わずくすりと笑みを誘われます。
ベースとしたのは、「玉井屋本舗」初代が考案した干菓子「やき鮎」の製法で、現材料はほぼ同じもの。砂糖と卵、小麦粉、片栗粉、寒梅粉と呼ばれるきめ細やかな餅粉、山芋も入っています。
カリッとした歯触りが特徴で、バリボリと小気味よい音を立てながら噛みしめていると、じんわりと品のよい甘さが広がり、お茶が欲しくなること請け合いです。日本茶はもちろん、コーヒーや紅茶とも相性よく楽しめます。
「玉井屋本舗」では、若い世代にも和菓子を再認識してほしいと、ゲーム関連のお仕事をされていた若いご親戚にも商品開発に加わってもらったそうで、インターネットのニュース記事やSNSでも大いに話題となり、「日本パッケージデザイン大賞2021」を受賞しました。
「手強い相手に立ち向かうとき、人生の大きな壁に挑むとき、恋の宿敵に打ち勝たんとするとき。きっとあなたに力をくれる」というゲン担ぎのお菓子。気合を入れて挑む勝負の前に、ぐっと噛みしめてみてはいかがでしょうか。






















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