新入社員がいきなり店長に!? 新スイーツブランド審査会が開催!

将来は自分のお店を持ちたい――。

たとえば洋菓子店やカフェなどの仕事をされている方や目指している方の中には、そんな夢や目標を考える方も多いでしょう。

しかし実際にお店を構えるとなると、「まだまだ経験不足で……」と二の足を踏んでしまったり、資金をはじめ、さまざまなハードルがあります。

さらに昨今のコロナ禍もあり、飲食関連のお店の苦境が耳に入ってくる毎日。中でもスイーツ業界は、コンビニスイーツ市場の台頭などもあり、なかなかその一歩を踏み出すことが難しいときでもあります。

そんな中、新入社員が自分で新しいスイーツブランドを考えプレゼンし、そこで選ばれたものが実際に販売されるだけではなく、その商品を販売するお店の店長になれる、という、夢のような審査会が開催されました!

次のヒット商品は新入社員が作る!?

今回の審査会を開催したのは、一度で2つの食感を楽しめる「とろなまバウムクーヘン」が人気の、バウムクーヘン専門店せんねんの木。

「いま、この荒波のスイーツ業界を牽引していくのは、若い世代になっていきます。早いうちから運営に携わり、パティシエールとしての経験値を高めて今後に活かして欲しい。そして、(せんねんの木がある)木更津を盛り上げていって欲しい」という思から、今回の審査会を企画。

今年の新入社員に対してそんな気持ちを伝えたところ、審査会までわずか2ヶ月しかない中、「やりたい!」「参加したい!」と4人の若者たちが手を挙げたそうです。

2021年2月20日(土)、そんな4人が木更津にある「エルシオンKISARAZU」での審査会に臨みました。

せんねんの木 新入社員

商品だけではなく、お店づくりまでが審査される

今回の審査会は、4名が「こんなスイーツブランドとお店を作りたい」と思って考え出したスイーツをプレゼン。それぞれのプレゼンを聴きながら審査員が実際に試食し、質疑応答を行うという流れ。

審査会には、審査委員長を務めるせんねんの木代表の曽根晃さんをはじめ、木更津市産業・創業支援センターの瀬沼健太郎さん、スイーツ芸人のスイーツなかのさん、パティシエ・フードプロデューサーの中達敬冶さん、株式会社サイバーエージェントでエグゼクティブディレクターを務める神永慎吾さん、そしておとりよせネット編集長の伊藤梢も審査員として参加。作る側、売る側、食べる側、それぞれの視点で審査が行われました。

せんねんの木 審査員 おとりよせネット編集長

プレゼンでは、自ら考え出したスイーツを説明するだけではなく、コンセプトや店名、販売方法、収益など、実際にお店を運営することを想定した内容を披露。このプレゼンの完成度が高く、見ているだけでも「なるほど……」と思わず深く頷いてしまうような仕上がりでした。

店長になるのだから、そこまでのレベルに仕上げてくるのは当然といえば当然なのですが、その堂々とした発表に、曽根さんも「思っていたより4人が自分の構想や質問に対してハッキリと答えていたことに驚いた」ほど。「4月から、せんねんの木グループに入社してくれることに喜びを感じた」そうです。

それでは今回参加した4名をご紹介します。

秘密は二層構造! カラフルなチョコレートタルト

トップバッターは江澤夏葵(えざわ なつき)さん。ミルククリームの上に、ストロベリーやキャラメル、ミントなどフレーバーチョコレートクリームを乗せた二層構造のチョコタルト「クルール・ムゥ」を発表。

せんねんの木 江澤夏葵さん

カラフルな色合いとシンプルなトッピング、二層になったクリームのなめらかな食感、そして珍しい舟形にするなど、美味しさはもちろん、他のタルトとの差別化を考え抜いた一品です。チョコレートクリームに季節の素材を使って、期間限定のタルトも作りたいそうです。

店名は「Lier(リエ)」。「つなぐ、つながる」を意味し、「自分が作ったスイーツが人から人へつながり、沢山の人に食べてもらえるように」という願いを込めてつけたそうです。

商品とお店、両方でワクワクして欲しい! 日曜限定発売のチョコクッキー

曽師秋空(そし あきら)さんは「日曜日のチョコクッキー屋さん“nichichoco”」という、日曜日にだけオープンするというチョコクッキー専門店を発表。手のひらサイズの大きなチョコクッキーで、見た目から興味を惹かれるようなを目指したとのこと。

せんねんの木 曽師秋空さん

お店ではリベイクコーナーを用意。お客さんの前でチーズやマシュマロ、いろいろなテイストのチョコレートをトッピングして、ベルトコンベアオーブンでリベイクできるというアイデアも披露。

商品のインパクトとお店での体験の楽しさやワクワク感を重視した発表は、販売員として働いている経験から。集客の難しさや、お客さんが商品を買ってくれたときの喜び。作り手と売り手、そして食べる側、3つの視点からまとめられた内容はとてもすばらしいものでした。

1日50個限定!「女性のご褒美スイーツ」を目指す上質なタルト

モンブランタルトレット専門店「和たると」を発表したのは、高橋夏梨(たかはし かりん)さん。国産の素材にこだわって作られた商品で、和栗、安納芋、そして桜やいちご、かぼちゃなどの季節の素材を使った3種類のタルトを用意しています。

せんねんの木 高橋夏梨さん

濃厚なクリームにしっとりとしたタルト生地を組み合わせることで、他のタルトとはちょっと違う味わいになっています。

一つずつ手作りし、上質にこだわることでプチ贅沢感を演出。各種50個だけ用意することで限定感もあり、「女性のご褒美スイーツ」として販売するそうです。

フードロス対策もしっかり! フルーツをトッピングした季節限定カヌレ

そして最後に登場したのは、植草 陽(うえくさ はる)さん。Rumns Road(ラムンスロード)というカヌレ専門店を発表。店名は、カヌレと言えばラム酒というイメージと、ここに来れば美味しいタルトが食べられるということ、そして自身の趣味であるロードバイクから着想したそうです。

せんねんの木 植草 陽さん

初めてカヌレを食べときにとても感動し、その気持をより多くの人に味わってほしいという思いから、カヌレ専門店に決めたそうです。

プレーンのカヌレではなく、フルーツをトッピングしたフルーツカヌレを看板商品にして、一ヶ月ごとにフルーツを変えて限定感を演出し、他社のカヌレとの差別化をはかっています。その日売れ残ったカヌレはラスクにして、次の日に先着順でプレゼントするという、フードロスへの対策もしっかりと練り込まれていたのには驚きました。

白熱する審査会! 最優秀商品はどれだ!?

4名のプレゼンが終わり、曽根さんをはじめとする6名の審査員によって審査会が行われたのですが、予定時間を大幅にオーバーする事態になりました。

せんねんの木 審査会風景

審査会では味や見た目はもちろん、商品のコンセプトや独創性などで評価したそうなのですが、どの商品も発表も素晴らしく、甲乙つけがたく、審査員の意見がぶつかり合うこともありました。

そしてその結果、最優秀賞を獲得したのはこの商品……!!

最優秀賞発表! そして驚きの展開に……!

今回、最優秀賞を獲得したのは、カヌレ専門店「Rumns Road(ラムンスロード)」を発表した、植草 陽さん!!

「子どもの頃、パティシエをしていた叔母が手作りのお菓子をよく食べさせてくれたんです。それがとても美味しくて。私もそんなことができるようなったらいいなと思って、小学生の時にはお菓子作りを始めて、将来は私もパティシエになりたいと思っていました」という植草さん。

せんねんの木 最優秀賞

「2ヶ月前にこの企画を知って、この歳(19歳)でこんな機会をもらってほんとに頑張ろうと思ってやってきました。今回受賞することができましたが、まだまだ未熟なところが多いですし、このカヌレをたくさんの人に食べてもらうために、考えられることがまだまだあると思います。これから頑張っていきます」と意気込みを語ってくれました。

「カヌレという、まだまだ浸透しきっていないスイーツを新しい食べ方で提供するところが、せんねんの木グループのコンセプト“新しい・チャレンジ”にピッタリ。数年後にはカヌレの進化系としてすごい商品ができそうなイメージが持てた(曽根さん)」というのが、選ばれた理由とのこと。

「こだわりのカヌレをたくさんの方に召し上がっていただき、木更津に一つでも多くの笑顔が増えるように頑張ってもらいたいと思います(曽根さん)」。

せんねんの木 曽根さん

「カヌレの美味しさに魅了された、純粋な気持ちが伝わったプレゼンでした」というのは、おとりよせネット編集長の伊藤。「カヌレ専門店も増えてきて、マニア向けのスイーツとしてぴったり。生地を作るために36時間しっかりと寝かせたカヌレは、外はカリっ、中はもっちり。王道のカヌレが味わえます」と高評価でした。

せんねんの木 受賞シーン

と、本来であればここでおしまい、なのですが、審査が難航した結果を受けて急遽、審査員特別賞が創設されることに。

その特別賞を受賞したのは、日曜日にだけオープンするチョコクッキー専門店を発表した曽師秋空さん!

せんねんの木 審査員特別賞

突然の発表に、曽師さんもとても驚いていましたが、「一つの商品を作ることはとても難しいことなんだなと、とても勉強になりました。今回学んだことを生かして、オーナー(曽根さん)に、どんどんアピールしていきたいなと思いました」と語るなど、もう次のことを考えている様子が伺えました。

「クッキーという、パティスリーではなくてはならない名脇役の定番商品を主役に選んできたのが、まず面白い。さらにお客様の目の前でトッピングして、ベルトコンベアオーブンで焼き上げていくというワクワク感があるところがとてもよかったですね(曽根さん)」。

チャンスを生み出す会社が良い商品を作る時代に

「たくさん修行したから美味しくて売れるケーキを作れるのではなく、お客様が笑顔になって喜んでくださるケーキを考案できるなら、新入社員でもベテランでも関係ないと思っています」という曽根さんの価値観から始まった、今回の審査会。

曽根さんと同じような思いを持つ経営者や製造担当の方は多いと思います。しかし、「スイーツの新ブランドを作ってもらい、さらに店長を任せる」というところまで実行できる会社は、そう多くはないでしょう。でもせんねんの木はそれをやる。それができる。

「せんねんの木という会社が、“チャレンジする”ということに対してすごく強い思いを持っていて、そこにあこがれて入社しました」という植草さんの言葉にも表れているように、そんなチャンスを生み出す土壌がある会社だからこそ、生まれてくる商品があり、育つ人がいます。

今回、4人の若者たちが2ヶ月という短い期間の中で、新ブランドを立ち上げるために、一所懸命に考え、ときには周りの大人達に意見を聞き、試作を重ね、審査会に臨み、評価を受けたことは、とてつもなく大きな学びとなるでしょう。

「ただ単に新しいスイーツのブランドを考えるのではなく、飲食の仕事に就くにあたって、ただ卵を割る、生地を作るだけでなく、その商品一つ一つにエピソードがあって、想いがある。それを感じてほしかったんです」と曽根さんがおっしゃるように、自らスイーツブランドを考え、企画することで、スイーツを作ることの本当の面白さや大変さを改めて知ったであろう4人には、期待しかありません。

せんねんの木 参加者

Rumns Roadは、2021年5月2日(日)に木更津でグランドオープン予定。今回の企画で生まれた美味しいカヌレを、ぜひ食べてみてくださいね。

Rumns Road(ラムンスロード)
住所:〒292-0052 千葉県木更津市祇園1-26-9
電話:080-4810-9428
営業時間:11:00〜 売り切れ次第閉店
営業日:日曜日のみ