高知県の名品といえば、かつおのたたきや芋けんぴ、文旦、ぼうしパンなど、いろいろなものがありますが、今回ご紹介するのは、高知県のソウルおやつといっても過言ではない、野村煎豆加工店の「ミレービスケット」です。昨年、マツコ・デラックスさんも深夜のテレビ番組で大量に購入された一品だそうです。
ほんのり甘くて、ほんのり塩味のなつかしいビスケット
10円玉ほどの大きさで、形は昔ながらの花丸型、植物油でさらっと揚げ、天日塩をふりかけたシンプルなビスケット、それがミレービスケットです。昭和30年ごろ(1960年ごろ)、すなわち約60年前から作られています。

ミレービスケットには、他のビスケットとはちょっと違ったポイントがいくつかあります。
多くのビスケットでは、卵やバター、クリームが使われていますが、このミレービスケットは、小麦粉をベースに砂糖、食塩、ショートニングを混ぜ合わせて作られています。そのためビスケットは控えめな甘さですが、表面にふりかけられた天日塩が甘味を引き立て、素朴なおいしさを味わえます。歯ざわりも、他のビスケットに比べると少し硬めです。
そして他のビスケットともうひとつ違うのが、生地を高温の油でさっと揚げていること。野村煎豆加工店は、その名前に「豆」が入っている通り、豆菓子や甘納豆を作るお店です。その豆菓子を揚げている油でビスケットを揚げているので、油ににじみ出た豆のエキスが、ビスケットに移り、独特の味わいを生み出しています。
ほんのり控えめな甘さ、その甘さを引き立てるほんのりとした塩味、豆のエキスと油分がほんのり染み込んだ独特な味わい、そして食べやすい一口サイズの大きさ。これらがちょうどよいバランスで揃っていることが、長く愛される理由の一つかもしれません。
独特なパッケージやテイストも
このミレービスケットですが、ちょっとおもしろいのが、そのネーミングとフレーバーのラインナップ。
たとえばミレービスケットが6個入った「お土産ミレー」のパッケージに書かれているのは「高知(土佐)のお土産はこれダ!ミレーだ!!」。たっぷり800g入りのファミリーサイズの名称は「ミレーの枕」(ちゃんと枕のデザインになっています)。

またキャラメル、コーヒーといった定番フレーバーをはじめ、クリームを挟んだもの、朝、昼、午後、真夜中といった時間別に違ったフレーバーまであります(それぞれコーンポタージュ、生姜、ブラックペッパー、にんにく味)。そしてミレービスケットが入った「ミレービスケットアイス」も。

ミレービスケットのキャッチコピーは「まじめなおかし」。その味に対する真面目な姿勢だけではなく、きっとまじめな遊び心を持って作られているのですね。
他にはない味わいで、一枚食べると、ついつい止まらなくなってしまうミレービスケット。ぜひ一度食べてみてくださいね。