本場 熊本での信用も厚い人気店の極上馬刺し

スライス6種バラエティーセット(馬刺し) 菅乃屋
松浦達也さん
調理の仕組みや科学、食文化史などを踏まえ、料理誌・一般誌・新聞・書籍・Webまで幅広く執筆・編集を手がける。テレビ等で食トレンドやニュース解説も。著書『大人の肉ドリル』は肉好きのバイブルとしてロングセラーに。マンガ大賞選考員、日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクターでもある。

外食や通販で「肉刺し」という文字を見ると、つい警戒してしまいます。鳥刺しは生食用ガイドラインが整備された鹿児島、宮崎の生食用のみ。牛肉も生食用の加工場が整備された精肉店等で加工されたものしか口にしません。

どちらも食中毒のリスクがあるからです。鶏肉も牛肉も腸内にカンピロバクターなどの食中毒菌が存在していて、と畜・解体などする際に可食部に付着してしまうことがあり、ヘタをすると命に関わる危険すらあるのです。

しかし肉にも例外があります。馬刺しです。なめらかな純白の脂が舌の上でとろけ、赤身を噛むと、凝縮感と清涼感が口いっぱいに広がる馬刺し。

実は偶蹄類の牛などと違って、蹄がひとつしかない馬は口蹄疫などのウイルス性の病気にかかりにくい上、胃が一つだけの単胃動物なのでO-157などの腸管出血性大腸菌の保有リスクが低いのです。

だから肉刺しでも馬刺しは(特に説明がなくとも)抵抗なしに食べられるのですが、おいしさとなるとまた別のハードルが設定されます。過剰な柔らかさは求めませんが、一定のやわらかさはほしい。行き過ぎたサシは不要ですが、できれば甘くおいしいサシが入っていてほしい。もちろん赤身は緻密で噛むと味の膨らむような身質であってほしい。

と、結構な贅沢を望んでしまうわけですが、こうした条件に加えて冷凍の状態など全幅の信頼が寄せられる馬刺し店を選びたいところ。とりわけ、地元の信用も厚い菅乃屋の馬刺し「スライス6種バラエティセット」の推せること、推せること。

部位によってさまざまある、馬刺しの極彩色の味わいが余すところなく凝縮されています。県内の契約牧場で仕上げられた霜降りやロースは、とろける甘やかな脂に柔らかな身質。赤身や赤身ユッケはミネラルの豊潤な奥行きが感じられます。

そして何と言っても馬肉ならでは味わいが満喫できるのがフタエゴ! お腹回りのいわゆるバラ肉で赤身の両側を脂身でサンドされたこの部位は、熊本県人ならば思い出すだけで垂涎間違いなしというおいしさ。少しだけ薄めにスライスされた赤身を専用のタレにちょんとつけて噛み込むと適度な歯ごたえの向こう側から、甘みをたたえた脂がじゅわじゅわと寄せてくるのです。

噛むほどに味が伸びて膨らむ、フタエゴの赤身と脂身の心地よい噛みごたえ。柔らかな身質やとろける脂の他部位と交互に食べ進めると、あまりの多幸感にめくるめく馬刺しの世界から帰ってこれなくなりそう。

この極上の味わいには、米焼酎のソーダ割りをお代わりしたくなってしまいます。「飲んでいたんですか!」というお叱りは甘んじてお受けしつつ、次の一切れはおろしにんにくとおろし生姜を巻いていただくことにします。

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松浦達也さん(フードアクティビスト/ライター/編集者)

調理の仕組みや科学、食文化史などを踏まえ、料理誌・一般誌・新聞・書籍・Webまで幅広く執筆・編集を手がける。テレビ等で食トレンドやニュース解説も。著書『大人の肉ドリル』は肉好きのバイブルとしてロングセラーに。他『新しい卵ドリル』(以上マガジンハウス)、『ハイボールとつまみ』(主婦の友社 ※監修)や、共著も審査員をつとめるレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)ほか多数。マンガ大賞選考員、日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクターでもある。