安政3年(1856年)に京都で創業した、京料理の老舗「下鴨茶寮」。世界遺産・下鴨神社の御用達包丁人を務め、170年にわたって京料理の伝統を受け継いできた料亭です。
そんな下鴨茶寮から、2027年のおせちが登場しました。今回、おとりよせネット編集部が京都で開催された発表会に参加。実際に料理を味わいながら、本店総料理長の本山直隆さん、そして下鴨茶寮 主人の小山薫堂さんから、おせちに込められた意味や、2027年のおせちに対する思い、料理人ならではの仕事についてお伺いしました。
一年で最初の食事だからこそ。おせちの一品一品に込められた願い
お正月のごちそうとして親しまれているおせちですが、本来は新しい年を迎えるための願いや祈りが込められた料理。食材・料理・調理法の名前や姿に、願いや祈りが重ねられています。下鴨茶寮のおせちにも、昔から受け継がれてきた縁起物が並びます。
おせちの中心となるのは「祝い肴三種」と呼ばれる品々。「まめに暮らせるように」と願う黒豆や子孫繁栄を願う数の子に加え、関東では五穀豊穣などを願う田作りが定番ですが、関西では叩きごぼうをあわせています。ごぼうは地中に長くしっかり根を張ることから縁起物とされ、ごぼうをたたいて開くことから「開運」の意味もあるそうです。
ごぼうは京都や大阪でも伝統野菜やブランド品種として扱われることから、下鴨茶寮では地元への敬意も込められているそうです。
他にも、「腰が曲がるまで長生きできるように」という長寿の願いが込められた車海老、「多幸」に通じる蛸といった食材を使った料理に加え、飾り切りを施すことで松かさを表現した松笠烏賊、百合の花のように仕立てた百合根など、食材そのものが持つ意味だけでなく、ハレの日らしい華やかさを添える料理には、職人の包丁仕事が随所に光っています。
そして味付け。おせちは日持ちさせるために濃い味付けに仕上げるものも少なくありません。しかし下鴨茶寮では、「できるだけ出汁を効かせ、かつ日持ちもさせる(本山さん)」ように作られているそうです。
「単に縁起のよい食材を詰めるのではなく、その願いや祈りを美しく、おいしい料理に仕立てる(本山さん)」という言葉に、“下鴨茶寮のおせち”らしさを感じました。
料亭ならではの味わいが光る「蛤しぐれ煮」と「本唐墨」
今回のおせちの中でも、本山さんが「ぜひ味わってほしい」と挙げたのが「蛤しぐれ煮」と「本唐墨」。
蛤は殻が対になる貝としか合わないことから、「夫婦円満」の意味を持つ食材。そんな蛤を使ったしぐれ煮は、下鴨茶寮のおせちの中では唯一と言ってもいいほど、しっかりとした濃い味付けにしているとのこと。これはもともとのおせちの味付けを代表する一品なのだそう。ひと口食べると、出汁をきかせた他の品々との味のコントラストがはっきり感じられ、箸が進みます。
唐墨は血抜きから始めて塩締め、塩抜き、アルコール漬け、天日干しまで、3〜4週間をかけて仕上げるという、おせちの中でも手仕事の代表ともいえるもの。「自分で言うのも憚られるほど手間がかかっている(本山さん)」というほどで、その手間の分だけ旨みが凝縮されていて、酒の肴としても抜群です。
食卓を囲む工夫が込められた、2027年のおせち
下鴨茶寮の2027年のおせちは、本店で仕立てる特別なおせちから、生おせち、冷凍おせちまで全14商品(うち3商品はすでに売り切れ)。家族で囲むものから二人で楽しめるもの、お酒と一緒に味わうものまで、さまざまなお正月の過ごし方に合わせて選べます。
ここ数年は中身そのものより「どんなシチュエーションでも楽しめるようにラインアップを見直してきた(本山さん)」とのこと。料理だけでなく、購入した人がどのように食卓を囲むのかといったところまで心配りをしているのが伝わってきます。
そんな中から、おすすめの5品をご紹介します。
【本店】特製和おせち 二段+合鴨鍋(4~5人前)
伊勢海老、黒鮑、キャビア、本唐墨、すっぽんの時雨煮など、ハレの日にふさわしい食材を贅沢に盛り込み、さらに合鴨ロースや合鴨つみれ、蕎麦など計53品がセットになっていて、合鴨鍋まで楽しめます。
おせちだけでなく鍋を組み合わせたのには、元日にはおせちを囲み、2日目、3日目には温かい鍋をみんなで囲んで、お正月の食卓をもっと楽しんでもらいたいという思いも。お正月を通した食卓の時間まで考えられたセットです。
和おせち 三段『未』干支陶器付(4~5人前)
黒豆甘露煮や数の子醤油漬、海老の旨煮といったおせちの定番に加え、ロブスター塩蒸し、鮑旨煮、かに甘酢漬、いくら醤油漬、ローストビーフなど39品を三段に盛り込んだ華やかなおせちです。
下鴨神社の宮司による直筆で、2027年の干支「未」をあしらった陶器も付いていて、お正月のおめでたい気分を盛り上げてくれます。同じ干支陶器が付いた2人前の一段重(23品入)もあり、人数に合わせて選べるのもうれしいですね。
酒肴おせち 冷凍一段 お酒付(2人前)
鮭柚庵焼やいくら醤油漬、甘海老塩辛、なまこぽん酢、唐墨、クリームチーズ味噌漬など、お酒と合わせて少しずつつまみたくなる料理26品を一段に詰め合わせています。お酒好きの本山さんイチオシのおせちです。
おせちに加え、日本酒「獺祭」と京都・松井酒造の「神蔵」の2本をセット。冷凍状態で届くため、解凍途中のみぞれ酒のような状態から、温度とともに変化する味わいを楽しむこともできます。
「お正月だからおせちを食べる」だけではなく、お酒とゆっくり楽しむという過ごし方に合わせた、少し大人のおせちです。
【本店】和おせち 二段+雑煮重(4人前)
鮑旨煮やロブスター塩蒸し、いくら醤油漬、数の子醤油漬、車海老旨煮などを詰めた二段のおせちに、焼ふぐやふぐ白子焼、紅白餅、野菜などを盛り込んだ雑煮重がセットになって計40品が入っています。
発表会でも実際にいただいたお雑煮は、京都らしい白味噌仕立て。京都の老舗・加藤味噌店の白味噌を、店舗の味そのままに使っています。麹のやさしい甘みの中にしっかりとした出汁の旨みがきいていて、上品でまろやかな味わいです。
焼きふぐの「ふぐ」は「福」に通じ、大根、人参、南瓜など、“ん”のつく食材を取り合わせることで「運」を呼び込む。料理そのもののおいしさだけでなく、一つひとつの食材に新年への願いを重ねているのが印象的でした。
下鴨茶寮の本店でもお正月に提供している味を家庭で楽しめるよう仕立てているそうで、関東をはじめとした醤油仕立てに親しんできた方には、まろやかな甘みはきっと驚くおいしさでしょう。まだ食べたことがない方にも、ぜひ一度は食べてみてほしいおいしさです。
冷凍コラボおせち二段+ちらし寿司(2~3人前)
昨年に引き続き登場するのが、大正13年(1924年)創業の札幌市中央卸売市場の卸売業者「カネシメ髙橋水産」と作る冷凍コラボおせちです。
一の重には銀鱈の煮付け、鮑旨煮、かに甲羅詰め、数の子醤油漬など海の幸を中心に。二の重には伊達巻やにしん昆布巻、黒豆甘露煮、飛龍頭煮、焼湯葉など、札幌市場のセリ人が目利きした厳選素材を使ったお正月らしい料理が並びます。
さらに2027年は、三の重として「蟹といくらのちらし寿司」が新たに加わりました。おせちとご飯ものを一緒に楽しめる、2~3人前のセットで25品入りです。
意味にも思いを馳せて囲むおせち
下鴨茶寮では、おせちを「ご家庭で一年で一番最初の食事をお届けして、召し上がっていただき、喜んでいただけるという素晴らしい機会」としてとらえているそうです。
本山さんも「一年に一度のおせちほど、人の幸せを思い、祈り、願う料理はほかにありません」とコメント。家族が集まり、新しい一年のスタートとなるハレの日の料理として、一品一品を仕立てています。
発表会で印象に残ったのは、おいしさや豪華さだけでなく、「なぜこの料理を食べるのか」を何度も丁寧に語られていたこと。黒豆、数の子、海老、ごぼうなど、普段は何気なく口にしているおせち料理の一品一品にも、新しい一年への願いがあります。
小山さんも「子どもたちにおせちの意味や日本文化を伝えるために、特別な冊子や塗り絵を一緒に入れるのもいいですね」とおっしゃっていました。そういった意味合いを知ったうえで食べるおせちの味わいは、きっと変わってくるでしょう。
2027年のお正月は、そんな意味や願いにも少し思いを馳せながら、おせちを囲んでみてはいかがでしょうか。
また、一部のおせちについては、オンラインストア「Aima(アイマ)」でもご購入いただけます。
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