プロが教える、美味しいお茶の淹れ方のコツ/日本茶の基本vol.3

湯のみにお茶を注ぐ
伊藤尚哉
(日本茶インストラクター)
日本茶のスペシャリストである「日本茶インストラクター」を取得。日本茶専門店で働きながら、日本茶の魅力を伝えるべく、お茶の淹れ方講座など日本茶を楽しめる場所や時間を創ったり、和菓子とのコラボユニット「neuf neuf」の活動を行っています。

こんにちは!日本茶インストラクターの伊藤尚哉です。飲むとほっこり、穏やかな気持ちになれる日本茶。この連載では、そんな日本茶の淹れ方やおすすめのお茶をご紹介します。第3回目は、「プロが教える、美味しいお茶の淹れ方のコツ」と題し、基本的なお茶の淹れ方のコツをご紹介していきます。

ひとくちに「緑茶」と言っても、栽培方法や製造方法によって種類はさまざま。お茶の種類が違えば淹れ方も少しずつ違ってきます。そこで今回は、ご自宅で気軽に飲んでいるような普段遣いの緑茶の淹れ方をご紹介します。

とても重要な水選び

実際に飲んでいるお茶は、約99%が”水”で、1%がお茶の成分。なので、水はとても重要です。

日本茶に適した水は「軟水」なので、軟水のミネラルウォーターを使うのがおすすめですが普段用のお茶であれば水道水でも構いません、がただし水道水には塩素が含まれているので、必ず一度沸騰させてください。沸騰させたお湯は保温用のポットに移し、少し冷まします。

ちなみに海外ブランドのミネラルウォーターには「硬水」の商品があるので注意が必要です(商品の表示が「硬度 0~120g/L」であれば”軟水”、「硬度 120g/L以上であれば」”硬水”です)。

熱湯はNG!少し冷ましたお湯を使いましょう

日本茶は爽やかな香りと「うま味・甘味・苦渋み」が同時に楽しめます。しかし沸かしたてのアツアツの熱湯で淹れると、苦渋み成分がたくさん浸出してしまい、繊細な味わいの”甘み”が十分に味わえない”苦いお茶”になってしまいます。

「うま味・甘味・苦渋み」のバランスが取れたお茶を淹れるには、70~80℃に湯冷まししたお湯が最適です。以下の手順で冷まします。

1. 沸騰させたお湯を保温ポットに移します。すると少しだけ湯が冷めて、90~95℃くらいになります。
2. ポットに入ったお湯はすぐに急須に淹れずに、一度湯のみに注ぎます。これですぐに約10℃ほど湯温が下がります。
3. さらに1分ほど待ちます。すると70~80℃くらいの”ちょうどいいお湯の温度”になります。

湯のみにお湯を取ることで、お湯を冷ますだけでなく、お湯の計量もできます。これでお湯の量を間違えることなく、お茶を淹れることができます。

お湯測量

茶葉は適量をしっかり測って入れる

湯冷まししている間に茶葉の準備をしましょう! 茶葉の量は1人4~5gくらいが適量で、2~3人に淹れる場合は6~8gが適量になります。小さじあるいは、ティースプーン山盛り1杯が約2gなので、山盛り2杯で1人分になります (「深蒸し茶」と書いてあるお茶は、1杯3gになります)。

茶葉

お湯はゆっくり、静かに注ぐのがコツ

湯のみに注いだお湯を、茶葉を入れた急須に移します。その際、お湯はできるだけ「そーっと」注ぎます。ボトボトお湯を注いだり、急須を回したりして無駄に茶葉に衝撃を与えると雑味が出て繊細な甘みが感じられないお茶になってしまいます。

お茶の入った急須にお湯を注ぐ

お湯を注いだら、急須の蓋をして、約1分静かに待ちます。

急須

湯のみに注ぐときは回し注ぎで

急須から出るお茶は、はじめは薄く、後はだんだん濃くなっていきます。そのため、複数の湯のみに淹れる場合は濃さを均等にする”回し注ぎ”をします。

2人分を淹れる場合は交互に、3人分の場合は「1→2→3→3→2→1」の順でお湯がなくなるまで注ぎます。

湯のみにお茶を注ぐ

二煎目をおいしく淹れるために、最後の一滴まで注ぎ切りましょう。

最後に一滴まで注ぐ

二煎目はポットに入ったお湯を湯のみに注いだら、待ち時間なしで、すぐに急須に注ぎます。三煎目以降は、ポットから直接急須に注ぎます。こうすることで、甘みから苦渋みに変化するお茶の味わいを楽しめます。

急須にお湯を注ぐ

寒い時期に飲みたくなる、ほうじ茶と玄米茶の淹れ方

寒くなるこれからの季節に飲みたくなるのが、じんわりと体が温まるほうじ茶や玄米茶。基本的な淹れ方は同じですが、ほうじ茶と玄米茶は、熱湯でサッと淹れることで、芳ばしい香りがより楽しめます。そこでポットから直接急須にお湯を注いで、30秒程度待ってから湯のみに注ぎます(ちなみに、ほうじ茶は”大さじ”1杯で2gになります)。

ほうじ茶

いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介させていただいた淹れ方で慣れてきたら、茶葉の量やお湯の温度を変えて、自分の好みの味を探してみるのもお茶の楽しみ方のひとつだと思います。ぜひ参考にしてみてください。

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湯のみにお茶を注ぐ

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