
チーズライター・パン教室「ラ・ナチュール」主宰
「ソフトタイプ」と聞いてもピンと来ない方がほとんどかと思いますが、実はこのタイプ、白カビ、ウォッシュ、シェーヴル等、よく知られた様々なタイプのチーズが含まれています。
文字通り、熟成する事により柔らかくなるチーズをひっくるめて、ここではソフトタイプと呼んでいますが、従来のカテゴリー分けでは当てはまらないチーズも含めて、最近は、こういう分類も見られるようになってきました。
カマンベールやブリ・ド・モーなど、「白カビタイプ」のチーズには、シンプルな味わいのバゲットがおすすめ
恐らく、日本人に最も早くから親しまれてきたナチュラルチーズがこの白カビタイプではないでしょうか。代表的なのは、皆さまご存知カマンベール。その他、ブリ・ド・モー等も良く知られていますね。熟成と共にしっかりとした個性を出してくるものもありますが、その多くは食べやすく優しい味わいなのが特徴です。
そんな白カビチーズに合わせたいのは、白くてシンプルな味わいのバゲット。優しい味わいのもの同士でバランスが取りやすくて馴染みも良く、お互いの味を引き立ててくれます。
スライスしたパンに白カビチーズをのせて黒胡椒をガリっと挽きかけて、またはドライフルーツやジャムをのせていただくのもお奨めです。
風味が強いウォッシュタイプチーズには、ライ麦や全粒粉が多めに入ったしっかりした味わいのパンがおすすめ
チーズを作る時、塩水やお酒で洗いながら熟成させることにより強い風味に仕上げるウォッシュタイプのチーズ。そんな強いチーズには、しっかりした味わいのパンを合わせてバランスを取りましょう。
ライ麦や全粒粉が多めに入ってずっしりとしたもの、クミンやキャラウェイ等のスパイス入りもおすすめです。また、ウォッシュタイプにはナッツを思わせるような香ばしい香りもあるので、クルミ等のナッツ入りパンも風味に共通項があって好相性です。
食べる時はパンにチーズをのせてそのままいただいても美味ですが、さらにクミン等のスパイスをぱらりとふって、チーズがとけるまでトースターで焼いても美味です。ぜひお試しください。
酸味のある酸凝固タイプチーズには、ドライフルーツの入ったパンがおすすめ
“酸凝固タイプ”というのは、恐らく多くの方は初めて聞く言葉かもしれません。
通常チーズは、主にレンネットと呼ばれる酵素を加える事で乳を固めてチーズにするのですが、このタイプは主に乳酸菌の力を借りて発酵させることにより、乳を固めてチーズにします。
分かりやすくざっくり言うと、乳を乳殺菌発酵させて固めたのがヨーグルトですが、そのヨーグルトの水気を切って形にして発酵させたようなチーズと言えばイメージが湧きやすいでしょうか。これは山羊乳を使って作るシェーヴルによく見られる手法ですが、牛乳等、他のチーズでも用いられる作り方です。
うっすらと白くて柔らかい外皮、そして熟成と共にとろりと柔らかくなる生地が特徴で、一見、白カビチーズの様に見えますが、白いカビのようなものは実はカビではなく酵母。よって、白カビチーズではありません。従来の分類方法では当てはまるカテゴリーが無いのです。
この酸凝固タイプ、具体的にはフランスのサンマルスランやイタリアのロビオラ等がこのカテゴリーに当てはまりますが、日本のチーズ工房でも、このタイプは多く作られています。
若いうちは酸味が強いのですが、熟成と共に酸味は濃厚なうま味(刺激味や、クセのある風味が加わることも)へと変化していくチーズです。
そんなチーズに合わせたいのは、ドライフルーツの入ったパン。チーズの酸味とドライフルーツの凝縮された甘味は良く合います。また、ちょっとしたクセや食べにくさがある場合も、その甘味がよいまとめ役になってくれます。
以上、ソフトタイプチーズとそれに合わせたいパンをご紹介しました。ソフトタイプは、柔らかくクリーミーな食感やミルキーさが日本人にも馴染みやすいチーズだと思いますので、ぜひいろいろと試してみてくださいね。





















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