
(グルメサイト「追求!美食道」主宰)
お醤油は常に3、4種類が冷蔵庫に入っていますが、中でも最も長く使い続けているのがこの「三ツ星醤油」。主婦となった頃からですからもう30年近く愛用していることになります。
きっかけは恥ずかしながら「美味しんぼ」というグルメ漫画。紹介されていたこの三ツ星醤油をどうしても味わってみたくて取り寄せてみたのでした。デパートやこだわりの食品を扱うお店や通販サイトにも扱いが割とあり、常備しやすいのも魅力。けれど、公式サイトを見ると店頭にはない商品がたくさんあってそれもまた楽し、なのです。
原材料は北海道産の大豆と小麦、そして天日塩だけ。でも良く見ると本味醂も入っています。長年いぶかしく思っていたのですが、実はもろみを搾った後の火入れの際、お醤油が焦げないように釜の鍋底を本味醂で拭いており、その味には影響しない部分さえも表記していたのだと知り驚きました。しかも味醂は伝統製法で作られている白扇酒造の「福来純本みりん」なのだそう。こんな真面目で正直なメーカーさんがあるでしょうか?
元禄時代からの古式製法のため、何種類ものお醤油を作ることができず濃口醤油一種類のみ作られているそう。その味わいは、コクと旨み、柔らかな甘み、まろやかな塩味が溶け合った極上の和のソースのよう! ほとんどは素晴らしい風味をそのまま楽しみたいのでかけ醤油専用として使っていますが、バターやオリーブオイルと合わせたり、焦がし醤油にしたりすることもあります。自家製の醤油麹に使うととても良いお味に仕上がります。
以前はもっと大きな瓶を買っていたのですが、少しでも新鮮に味わいたいのと冷蔵庫に入れやすいこともあり、もっぱらこのサイズです。公式サイトでは、三ツ星醤油の中でも「味・色・香」のが格上の限定品も販売されていることを知りました。一度試してみたいと思っています。
手作業で麹を4日間かけて育てたあと、ふた夏の発酵と熟成を経て三ツ星醤油は私たちの元に届きます。その丁寧なものづくりと上質な原材料を考えると、決してお高いとは思えません。
現在、十八代目(!)がお父様と一緒に頑張っておられるようです。ふるさと京都でも事業継承ができず伝統のともしびが消えてしまう例があとを断ちませんが、若者が頑張っているのを知りとても嬉しく思います。これからもずっと「食べて応援」していきたい一品です。