
(スイーツ芸人)
よろスィーツ! スイーツ芸人のスイーツなかのです。
手土産やプレゼントでスイーツを贈るとき、「なにこれ!」とか「こんなのあったの!?」と驚きとともに喜ばれると、ちょっと嬉しかったりしますよね。そんな「サプライズスイーツ」をご紹介するこの連載。第41回目は、和風オペラをご紹介します。
境内の一角に佇む、モダンな和菓子屋さん
日々、いろいろなお菓子を食べていると、日本の菓子文化は、多くのエッセンスを吸収し、独自の発展を遂げていると感じます。
特にここ数年は、和と洋を掛け合わせたお菓子を口にすることも増えましたが、目新しさではなく、しっかりと美味しいものを作り上げるところに、日本の作り手の凄さを感じるのです。
「季のせ(ときのせ)」のお菓子も、そのような気持ちを抱く、日本ならではの素晴らしさが詰まっています。
2011年、福岡県宇美町にある「宇美八幡宮」内に誕生した、季のせさん。店主の宮部さんが手がけるお菓子は、おしゃれなパッケージに入って、神社にある和菓子屋さんとは思えないギャップも魅力のひとつ。
今回、ご紹介する「をぺら」には、和としての伝統を踏まえながら、洋風のテイストを合わせた、新しい出会いが待っています。

チョコレートケーキと羊羹の出会い
まるで高級な腕時計が入ってそうな、スタイリッシュかつリッチなケース。プレゼントでもらったら、もうこの時点でワクワクしちゃいますね。

開けてみると、中はこのように、丁寧に梱包されています。深い青と濃いピンクの色合いが、またステキ。

ケースの中には、約20センチほどの「をぺら」が一本丸ごと入っています。シルエットの美しさにうっとり。

名前にもある通り、フランス菓子「オペラ」のように層が重なったつくりで、まるでケーキのようなルックスです。

洋風にみえますが、つくりはしっかりと和を軸にしたもの。カカオトレースのチョコレートを使用したチョコレートの羊羹に、コーヒーと白餡をそれぞれ使った浮島(あんこを用いた蒸し菓子)を重ねています。

「チョコレートの羊羹を作ろう」と思ったのがきっかけと、宮部さん。どうせやるなら、チョコレート菓子を代表する「オペラ」と、和菓子の代表でもある「羊羹」を融合させてみようということから、「をぺら」が誕生したそうです。
“和”を大切にした、新しい味わい
フォークで刺すのを一瞬ためらうほど、洗練された見た目。ひと口食べると、その味わいに、さらに虜になります。

チョコレートの羊羹は、ガナッシュのように柔らかく、ふわっとした浮島との一体感が素晴らしい。
コーヒーとチョコレートを楽しむケーキのオペラのように、羊羹からしっかりとチョコレートを堪能し、浮島からコーヒーの風味が合わさる、上品なマリアージュ。

あんこをベースとした、和菓子ならではの繊細な甘さを兼ね備えているつくりが、なによりの魅力。ただ甘いだけじゃない、奥行きのある味わいや舌触りが、心地良く口の中に残るのです。
アプリコットのジャムも間に合わせてあり、程よい甘酸っぱさも食べやすく、いいアクセントです。

「をぺら」を作る上で一番難しいのは「和菓子・羊羹」であること、と宮部さん。和菓子として重くなく、さっぱりしながらも、チョコレートの美味しさを残したり、引き出したりする手加減が難しいのだそう。
チョコレートの選定はいまだに行っていたり、ちょっとした改良を繰り返しているなど、日々美味しさへの追求をされています。

宮部さんがお菓子を作る上で大切にしているのは、「まずは自分たちが食べたいもの、作りたいもの」を作ること。自分たちが熱狂して、一番のファンであることが、お客様に思いを伝える上で、とても大事なことだと考えていらっしゃいます。
全種類あんこを変えて、そのお菓子専用に練っているなど、シンプルな粒餡やこしあんでも、違いを楽しむことができるのも、大きなこだわり。
和菓子としての美味しさを注ぎ込んだ、唯一無二の新しいお菓子の味わいに、ぜひ出会ってみてください。
ナイスィーツ!