
スイーツジャーナリスト
「老舗の定番」のお菓子を六回にわたってご紹介して参りましたが、今月からより幅広く、長年愛される「定番」スイーツをご紹介して参ります。新連載の第一回は、「アンリ・シャルパンティエ」の「フィナンシェ」です。
芦屋の名店の看板商品は、フランスの伝統菓子「フィナンシェ」
「アンリ・シャルパンティエ」は、1969年、兵庫県芦屋市に誕生したブランドです。最初は小さな喫茶店からスタートしましたが、いまや、全国に90店舗以上あり、海外にも展開しています。
その看板商品が、1975年の発売より40年以上愛され続けている「フィナンシェ」。私にとっても、東京のデパ地下で初めて出会った時から印象深く、懐かしいお菓子です。
フィナンシェはフランス語で「金融家」という意味を持ち、由来を紐解くと、パリの証券取引所近くの通りに店を構えた菓子職人が、顧客が背広を汚さず素早く食べられるように考案したといった説が伝えられています。
「アンリ・シャルパンティエ」では、このお菓子の誕生以来、素材やレシピを何度も見直してきました。

たとえば、北海道根釧地区の豊かな自然環境の中で育った乳牛の生乳から作られる、オリジナル発酵バターを使用。製法にもこだわり、バターになる前のクリームに乳酸菌を添加してゆっくりと発酵させる、フランス式の「前発酵」を採用。特有の風味が引き立ち、口どけもなめらかになります。
アーモンドは、香りが強くジューシーな甘みが特徴の「マルコナ種」と、香ばしいフレーバーが印象的な「フリッツ種」をバランスよくブレンドし、豊かな味わいを生み出します。さらに、既にパウダー加工されたものを使う事業所も多い中、皮付きのホールのアーモンドを輸入。それを、生地に混ぜ込む直前に自社で挽き、フレッシュで芳醇な香りを引き出しているのです。
年間販売個数で4年連続、ギネス世界記録™達成!
実はこの「アンリ・シャルパンティエ」の「フィナンシェ」、すごい記録を持っているのをご存知でしょうか?

2018年、「年間販売個数において世界一売れているフィナンシェ」として、4年連続でギネス世界記録™に認定されました。2015年10月1日~2016年9月30日の間で、なんと2500万個以上販売というから、驚きです。手土産としてお持ちする際にも、思わず、相手に話したくなりますね!
デザートも楽しめる芦屋本店や銀座メゾン

芦屋本店はサロン・ド・テ併設の店舗で、ケーキはもちろん、デセールやサンドウィッチなどのフードも提供します。東京には「銀座メゾン アンリ・シャルパンティエ」があり、風格漂う石造りの建物の中には、手土産需要にも応えるブティックスペースに加え、スタイリッシュなサロンスペースが。季節の素材を使った本格的なデセールの実演も人気です。
2019年には、創業50年を迎える「アンリ・シャルパンティエ」。今後もさらなる「美味しさ」を求めて、ますます飛躍していくことでしょう!