新茶とともに味わいたい、急須のかたちのもなか

深山のもてなし
甲斐みのりさん
(文筆家)
旅、散歩、お菓子、手みやげ、クラシックホテルや建築、雑貨や暮らしなどを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。著書は『地元パン手帖』『お菓子の包み紙』など35冊以上。

“夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る~”

5月になると明治45年に発表された日本の童謡「茶摘」を口ずさんでしまうのは、私が茶処・静岡の出身だからでしょうか。

八十八夜とは、季節が春から夏に移り変わる雑節の一つで、立春から数えて88日目の日のこと。だいたい毎年、5月2日頃にあたります。

昔からお茶の産地では、八十八夜に茶葉を摘んで新茶を作る風習があり、茶摘みイベントが行われることも。「八十八夜に摘んだ新茶は、無病息災長寿めでたし」などと言われ、縁起ものとされてきました。テアニン(甘み)が多く、カテキン(苦味)が少ない新茶は、うまみをたっぷり感じられます。

中学生の頃は校外学習として茶摘みの授業があり、新茶ではありませんが、自分たちで摘んだ茶葉を煎じて味わうまでできたことは、とても貴重な体験です。

毎年この時期に、心待ちにしているのが、静岡の実家から届く新茶。急須から湯のみにお茶を注ぐとき、最後の一滴に凝縮されたうまみを逃さないようにと、いつも以上に気持ちを整え、手元に集中。そうして、そのあとに待っているのは、楽しいおやつの時間。新茶に合うお菓子を準備して、故郷を思いながらお茶とお菓子を味わいます。

爽やかな初夏のおやつ時間。新茶や緑茶と合わせるのなら、これがいい。急須をかどったも最中(もなか)の中に、ぽってり甘い栗が一粒。お茶あんと小豆あん、2種類あって、今日はどちらを口にしようか迷ってしまう。急須の最中皮は、形にこだわり、オリジナルで開発したといいます。栗とあんこの甘さが、口の中に残る緑茶のうまみと一つになって、まろやか余韻を残します。

この「深山のもてなし」というお菓子を作るのは、静岡県島田市の「三浦製菓」。大井川鉄道をSLが走る抜ける、茶処・川根のお菓子屋にあるお菓子屋さんです。

三浦製菓がお菓子作りに使っているのは、新芽の風味が活きたお茶の粉末。「深山のもてなし」の他にも、「お茶羊羹」はじめ、パイやマドレーヌなど、様々なお茶菓子を作っています。

これからの季節、車窓から茶畑の景色が美しい、大井川鉄道の旅もおすすめです。電車の中でもぜひ、静岡の緑茶と、「深山のもてなし」をおやつに。

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