
スイーツジャーナリスト
長年愛される「定番」スイーツ紹介の連載第58回は、東京・日野市に本店のあるフランス菓子界の名店「パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ」より、100年以上前のフランスの古典のレシピを再現した稀少な菓子「ソーシソン・オ・パン・ヴリュ」をご紹介します。
フランス菓子好き憧れの名店「パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ」
「パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ」のオーナー、藤生義治シェフは1947年生まれ。1969年に渡仏してパリやウィーンの有名店で修業し、スイスの製菓学校でも学ばれました。
1993年に独立され、京王線・高幡不動駅のすぐ近くに、「パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ」をオープン。生菓子、焼き菓子、砂糖菓子、ショコラ、パンなど、約250種類ものお菓子が豊富にそろう店内は、まるでお菓子の国のような楽しさ!皆がその仕事ぶりに憧れ、面倒見のよいお人柄を慕ってやまない、フランス菓子界のレジェンドです。
とても勉強熱心な方で、帰国後も、フランス菓子のレシピが書かれた古典を原語で読み解く勉強会を仲間達と共に続けていらっしゃいました。その勉強会で100年以上前の古典のレシピを再現したのが、この「ソーシソン・オ・パン・ヴリュ」です。
お店では、もう25年ほど前から、このお菓子を販売し続けていて、「パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ」のスペシャリテとして知られています。
手の込んだ製法に驚かされる、100年以上前の焼き菓子
「ソーシソン」とはフランス語で「ソーセージ」のこと。生地をロールケーキのように巻き、ソーセージのような形に仕上げているのが特徴です。
卵黄と砂糖、皮ごとペーストにしたレモンと、バター、小麦粉、メレンゲを合わせた生地はしっとり、もっちり。刻んだレーズンも多めに混ぜ込まれています。焼き上がったら内側にアプリコットのコンフィチュールを塗って巻き、表面にラム酒が香る糖衣を塗ってザラメ糖をまぶします。
100年以上前に、これほど手の込んだ焼き菓子が作られ、レシピとして残されているということに感動せずにはいられません。
製造から1週間ほど日持ちする焼き菓子ですが、クール便で配送されるので夏場も安心です。
皮ごとペーストにしたレモンの香りやアプリコットジャムの酸味のおかげで爽やかさもあり、刻んだレーズンの食感と風味、表面のザラメの食感もアクセントとなって飽きが来ません。
菓子職人の工夫と情熱で生まれた逸品
藤生シェフ曰く、商品化にあたって、材料を混ぜる順番や製法など、安定して作りやすいようにアレンジもしたそうです。たとえば、当時のお菓子は、卵白を加える時に砂糖無しで泡立てたのみで入れていましたが、それでは生地が安定しないため、卵白に砂糖を加え、ふんわりとしたメレンゲ状にしてから加えるようにしたといった具合です。
又、古典のレシピ本は、写真はもちろん完成図すら無く、ごく簡単な作り方しか記載されていないため、想像で補う必要もありました。どのように巻くかという方法も書かれていなかったので、ザラメをまぶした後にグリルの上で少し押さえながら転がし、筋を描いたような模様をつけるという一工夫も。食べる時、等間隔に切り分ける際の目印にもなってくれます。
100年以上前は、お菓子の材料も道具も、今のように使いやすく洗練されたものではなかったはず。当時の菓子職人の思いや、藤生シェフのように、本場の菓子や文化を学びたいと渡欧した方々の情熱にも思いを馳せながらいただくと、いっそう味わい深い「ソーシソン・オ・パン・ヴリュ」。コーヒーや紅茶と共に、ご家族や親しい人と一緒に味わってください。







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