多くのチーズが通年で販売される中、秋から冬にかけてのみ販売され、毎年、全世界のチーズファンが「まだかまだか」と待ち焦がれるチーズがあります。それが「モン・ドール(Mont d’Or)」というチーズ。フランスとスイスの国境近くにそびえるジュラ山脈の「モン・ドール(「黄金の山」という意味)」という渓谷一帯で、秋から冬の期間のみ作られるチーズです。
製造と販売は期間限定、そして作り方も厳格なチーズ
フランスでモン・ドールの製造が許されるのは、毎年8月15日から翌年の3月15日まで。そして販売期間も決まっていて、9月10日から翌年5月10日までとなっています。さらに期間だけではありません。EUが管理する品質保証基準制度「AOP」で、産地・製法等が厳格に決められています。
そのため、フランスでは一般的に売られているようですが日本では3000円以上と、チーズの中でも割と高価な部類に入ります。それでも毎年、待ち焦がれるチーズファンは多く、毎年人気になっています。

すくって食べる、とろうまの極上チーズ
モン・ドールの食べ方は、まず食べる30分~1時間前に冷蔵庫から取り出して室温に戻し、チーズの上部、オレンジ色の表皮をぐるっと丸く切り取ります(切り取った皮は置いておきます)。
切り取ると、中からとろっとろのチーズがあらわれます。お好みの野菜やバゲットでチーズをすくうようにして食べます。なめらかで濃厚なミルク感のある味わいは、きっとクセになると思います。

そしてモン・ドールで特徴的なのが、その匂い。ビニールがかけられた状態でも、独特の匂いが漂ってきます。チーズ好きな方にはたまらない匂いですが、それほどでもない方にはちょっときついかもしれません。そんなときは、次の方法で食べてみてください。
1. とろとろのチーズに白ワインと、にんにくのみじん切りを混ぜる
2. その上にパン粉をふりかける(少し多めでもOK)
3. 木枠の表面をアルミ箔で包む
4. オーブンで焼く
白ワインとにんにくを使うことで、そのままの状態のチーズとはまた違った、食欲をそそるにおいに変化して食べやすくなると思います。お好みの野菜やバゲットでとろとろあつあつのチーズをすくったり、乗せたりして食べてください。もちろんチーズ好きな方にも、ぜひ試してみて欲しい食べ方ですよ。

一度に食べきれない場合は、切り取った表皮をかぶせて、また冷蔵庫に入れて保存してください。とろとろのチーズの乾燥を防ぐことができます。

手軽にチーズフォンデュのような楽しみ方ができ、しかも期間限定ということで、ちょっとしたホームパーティに出せば、その場もきっと盛り上がるでしょう。出かける前に冷蔵庫から取り出して、そのまま手土産に持っていけば、到着する頃には食べごろの状態になっていると思いますよ。ぜひ一度、試してみてくださいね。