
(グルメサイト「追求!美食道」主宰)
私の好みをよく知る友人からいただいた「きっぱん」と「冬瓜漬」のセット。その希少性に驚き、美味しさに心震え、ことにこの冬瓜漬は2020年に出会ったベストスイーツとなったのでした。
沖縄が大好きで毎年のように訪ねていますが、こんな珍しいお菓子があることはまったく知りませんでした。
元々興味を持っていた沖縄宮廷料理のデザートのひとつだったことも面白く、沖縄の食文化の深さに改めて感動するばかりです。
「謝花きっぱん店」は、300年ほど前に中国から沖縄に伝えられたという、琉球王朝の伝統銘菓「きっぱん(橘餅)」と「冬瓜漬」のふたつを唯一作り続けているお店。
一般人がこれらを食べることができるようになったのは、明治以降のことだそうです。それほど高貴で特別なお菓子だったのですね。
実は今回、店名にもなっているきっぱんと冬瓜漬、どちらをメインにご紹介しようかととても悩みました。
きっぱんはまわりが砂糖でコーティングされていますが、中は沖縄の柑橘の香気を閉じ込んださっぱりとした味わいで、見た目ほど甘くありません。デザートというより、むしろおもてなし料理の一品として、前菜のひとつとしてお出しすると良さそうだなと思いました。
ところが冬瓜漬はびっくりするほど甘いのです。でもその甘さがまたたまらないのです。名前を聞かなければこれが何でできているのか、想像もつきません。
冬瓜はただ、柑橘が使われた蜜をたっぷりと含んで存在しているだけ。薄く切って口にいれ、ひとくち噛むとジュワーッとその蜜が口中にほとばしるようにしみ出るのです! 95%が水分と言われる冬瓜の、水分がすべてこの蜜に置き換わっているに違いありません。
見た目からはまったく想像のできない、食べたことのない食感と甘みに「甘い、甘すぎる」と思いながらもつい、ひとくちでは収まらなくなってしまいます。
蜜のカタマリのようなのに、きっぱん同様どこかさっぱりしています。柑橘のなせるワザなのでしょうか。
嬉しいのはこの美味しさを、冷凍してしばらく楽しめること。冷凍したほうがむしろ私は好きです。その秘伝の製法を想像してみるのもまた楽しいものです。
ふたつをセットで取り寄せることもできるので、ギフトにはもちろん、料理にデザートにとそれぞれを使ってみるのも良さそう! 現地のお店にもいつか訪れてみたいですね。






















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