
スイーツジャーナリスト
長年愛される「定番」スイーツ紹介の連載、第23回は、銀座に本店を構える「銀座 松崎煎餅」の代表銘菓として知られる瓦煎餅「大江戸松崎 三味胴(しゃみどう)」をご紹介します。様々な季節の風物が描かれた美しい姿に、思わず見惚れてしまいます。
製法も見た目も繊細で美しい瓦煎餅
「銀座 松崎煎餅」は、江戸時代の文化元年(1804年)、初代の松崎惣八氏が芝・魚籃坂で創業。幕末の慶応元年(1865年)に銀座に移転し、関東大震災や戦災などを乗り越えつつ、江戸を代表する煎餅店として、草加煎餅、あられ、おかきなどを販売し続けてきました。現在は、8代目店主の松崎宗平(まつざきそうへい)氏が、その伝統を継承しています。
「瓦煎餅」というと、瓦のようにカーブを描いた形で、バリッとした歯応えの茶色いお煎餅を思い浮かべますが、「大江戸松崎 三味胴」は、そんなイメージを覆す、ごく薄く繊細な歯触りが特徴です。名前は、三味線の胴の形に似ていることから名付けられたそうです。
生地は小麦粉がベースで、卵をふんだんに使用し、砂糖やみりんも合わせています。サクっと心地よい食感で、コクがありつつ、ほんのりとした甘さと香ばしさ。どこか郷愁をそそられる、やさしい味わいです。
四季折々の花鳥風月や、江戸の風物を描いた絵柄は、職人が1枚1枚丁寧に手作業で描いています。美しい仕上げのためには、表面に凹凸などが無く、つるりと滑らかに焼き上げられていることが重要です。
焼き印を押した部分は、色の濃いシルエットのように浮かび上がり、そこを食べると、より香ばしさが立つのも味わいの一つ。
さらに、色を染め分けた「砂糖蜜」を作り、絵柄の切り込みを入れた型の上からさっと竹べらで流すと、ちょうど版画のように、切り込みの部分にだけ色がのります。これを乾かして、別の色をのせる際には、また同じことを繰り返すのです。まるで江戸時代の浮世絵を思わせる、時間と手間のかかる仕事です。
日本の四季が感じられる、季節限定の絵柄が魅力
絵柄は季節で変わり、月ごとの限定品も登場。たとえば、2020年9月に合わせて発売される「月替わりの大江戸松崎 三味胴『長月』」は、月で餅つきをするうさぎや、菊の花、赤とんぼ、萩の花など、いかにも9月らしい絵柄の12枚セットです。オンラインショップでもかなりの限定数での販売となるので、お見逃しなく!
定番の「大江戸松崎 暦」は、春夏秋冬の季節に合わせた8種類の絵柄の瓦煎餅の詰合せ。8枚入、16枚入、24枚入が選べます。改まった贈り物にもぴったりですね。
老舗が取り組む新しい挑戦とは?
さらに「大江戸松崎 三味胴」には、様々なキャラクターやブランド、漫画などとのコラボ品が登場することもあります。これまでにも、「ハローキティ」や「ムーミン」といった人気キャラクターとのコラボ限定品が発売されるなど、話題になってきました。
また、社章や校章、ブランドマークや名前など、好みの絵柄を入れて作ってくださるという「オリジナル三味胴」のサービスもあります。最低注文枚数が100枚となりますが、何かの記念にお願い出来たら楽しいですね!
江戸の老舗による様々な新しい挑戦。気になる方は、ぜひお店のホームページをご覧ください。






















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