「缶を開けたときの嬉しいほほえみ」を大切なひとに届けよう

冨貴寄 特撰缶JAPAN(小缶)
香取薫さん
(インド・スパイス料理研究家 有限会社食スタイルスタジオ代表取締役)
料理教室キッチンスタジオペイズリー主宰。インド料理、スリランカ料理、アーユルヴェーダ料理を広めるために研鑽の日々。多くのカレー店主や料理家、インストラクターを育てる。著書『はじめてのインド家庭料理』講談社『家庭で作れるスリランカのカレーとスパイス料理』、『家庭で作れる南インドのカレーとスパイス料理』河出書房新社、他多数。TV出演「キユーピー3分クッキング」など。

私の育った実家では祖父が書道教室をやっていました。幸せなことにそのおかげでお弟子さんたちからの頂きものの「なにか美味しいもの」が多いという、とても贅沢な環境で私は育ったのです。ときおり祖母が分けてくれるお菓子は有名店のものが多く、東京郊外の近所では手に入らないようなものばかりでした。

それらはとても美味しくてきれいで、洋菓子にしろ和菓子にしろ、幼いころからお菓子職人さんたちの丁寧なお仕事の味を楽しむ機会に恵まれたことはとても幸せでした。今、私が食の仕事をしている上で、そこから受けた影響は大きいのだと思います。

記憶とはおもしろいもの。ずっと忘れていたそんなお菓子のなかのひとつを私は成長したある日、買い物の途中でみつけます。

子どものころから知っていたかわいらしい丸い缶(※)、そしてそのなかにぎっしり詰まった一つ一つ味の違うひとくちよりも小さな小さなお菓子。茶色くて地味だけど香ばしくて美味しいもの、生姜の風味がするもの、シュガーアイシングがカリッとするもの、お豆が入ったもの、これぞ和菓子という色もきれいな和三盆のお花や葉っぱ。金平糖。文机を片付けたり硯を洗ったりしたあと、祖母が缶の中からさっとひとつかみの量を半紙に乗せて(書道教室なので、懐紙ではなくいつも半紙です)「はい、お手伝いごくろうさん」ともらったときの、その嬉しさ。

数十年忘れていたそのお菓子の思い出が大人になってから、通りすがりの売り場でじんわりと戻ってきたのでした。

そのお菓子が銀座菊廼舎さんの冨貴寄(ふきよせ)。創業以来128年のこれぞ東京お江戸のお菓子です。似たものがいくつか出ているようですが、こちらがご本家です。その日、私がひと缶手に入れて昔を懐かしんだのは言うまでもありません。

それから、この冨貴寄は私のある「定番」になりました。外国へのお土産です。持って行くお相手が日本人であっても外国人であっても、です。缶を開けたとき、こういうものってほんとに嬉しいです。小さくて可愛らしいのがぎっしりなんですから。

特にオススメなのは「特撰缶JAPAN」というもの。富士山とか、梅、桜、金魚とかが開けたらすぐに顔を並べています。お味も多種類で楽しいと大好評。賞味期限が長いのも嬉しいですね。

一度など、日本人の奥様と外国人のご主人とがこのお菓子を奪い合うように食べたとかで、奥様が外出中に残りを全部食べてしまったご主人があとからこっぴどく叱られた!という報告もありましたっけ。綺麗なだけではなく味がいろいろなのであれもこれも次もと、つい後を引くんですよね。次また同じものを持ってゆきますから、仲良く食べてくださいね!

※編集部注:現在は120周年を記念して作られた四角い缶になっています。

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冨貴寄 特撰缶JAPAN(小缶)

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香取薫(インド・スパイス料理研究家)

料理教室キッチンスタジオペイズリー主宰。インド料理、スリランカ料理、アーユルヴェーダ料理を広めるために研鑽の日々。多くのカレー店主や料理家、インストラクターを育てる。著書『はじめてのインド家庭料理』講談社『家庭で作れるスリランカのカレーとスパイス料理』、『家庭で作れる南インドのカレーとスパイス料理』河出書房新社、他多数。TV出演「キユーピー3分クッキング」など。