
チーズライター・パン教室「ラ・ナチュール」主宰
北海道、東京、大阪に多店舗展開している、北海道江別市の町村農場さん。国産チーズ好き、チーズスイーツ好きの方には知られた存在かもしれませんね。
そんな町村農場さんから、上質な乳製品をふんだんに使ったチーズケーキが発売されたと知り、早速試してみました。それがまぁ、今まで経験したことが無いほど風味が豊か。今回は、牧場渾身の傑作チーズケーキをご紹介します。
こだわりの原材料はオール北海道産!
北海道の酪農のパイオニアとして100年以上もの歴史を持つ、町村農場さん。札幌の隣町、北海道江別市に位置しながら、搾乳中の牛だけでも約300頭と、大規模な農場です。
そして大規模でありながら、牛の健康にもしっかりと気を配り、牛たちが食べる牧草は、全て自社の牧草地で有機肥料主体で育てたものというこだわりよう。また牛たちは牛舎内を自由に歩き回れるので、ストレスが少ないそうです。
こうした、安全な餌とストレスの少ない環境、そして江別の気候風土の相乗効果で、町村農場の牛乳は、乳脂肪が高く甘味があってまろやか。風味や後味がとても心地よいものになるのです。そういった乳質の良さは、チーズやチーズスイーツ等、全ての製品のベースとなっています。
そんな土台の部分にこだわる町村農場さんですから、この北海道チーズケーキの原材料にも並々ならぬこだわりが。
「余計なものを使いたくなかった。そして、全ての材料を北海道産のものにしたかった」と言う通り、原材料は、クリームチーズ、バター、卵、砂糖、発酵乳(ホエー)、クリーム、昆布だし、と、粉も入らないシンプルさ。不自然なものは一切入っていません。
また、クリームチーズ、バター、発酵乳、クリームは自社製、卵は牧場近くの養鶏所のもの、砂糖は十勝産の甜菜糖、昆布は羅臼産と、全て北海道産で作りあげる事に成功しています。
ちなみにチーズケーキ作りでは、味を引き締めるためにレモンの酸味を利用する事が多いのですが、北海道産のレモンがどうしても入手できなかったそう。その代わり、ヨーグルト作りで出来る自社の発酵乳(ホエー)を加える事で、味をピシッと決めています。
そして材料で、えっ?!と思ってしまうのが、昆布出汁。

出汁に含まれるナトリウムや旨味成分の効果で、味の輪郭を整え、調和の取れた後味にするための隠し味として欠かせないそうです。
原材料へのこだわりも北海道の牧場ならではですが、その配合も牧場ならではのふんだんさ。
クリームチーズは全重量の半分以上を占め、バターたっぷり、砂糖少なめという、菓子というより、もはや乳製品?!と思えるほどの太っ腹な配合です。

良い材料だからできた、リッチなのに後味すっきりな味わい
お取り寄せすると届くのは、淡いイエローのしっかりとした貼り箱に入った商品。シンプルな「町村農場」の金の箔押し文字が上質感を漂わせています。

箱を開けると現れるのは、紙に包まれたケーキ。ビニールではなく紙なところが、私的にはツボ。お店の方曰く、「チーズと同じだから」だそう。チーズと同様、チーズケーキも呼吸していることを感じさせる言葉に納得です。

低温でじっくりしっとりと焼き上げられたチーズケーキは、見た目よりもずっしりと重く、1本約450gもあって生地はみっちりと詰まっています。

ひと口食べると、まずチーズとバターの豊かな風味が広がり、柔らかな酸味、乳脂肪のコク、旨み、そしてミルクの風味……とめくるめく味わいを楽しめます。甘さ控えめなので、素材それぞれの良さが引き立っていますし、沢山食べられそう!
リッチな味わいにもかかわらず、後味のキレ良く、胃にも全く重さを感じないのは、良い材料ならではの食後感です。
なお、このケーキは冷凍で届きますが、解凍した後、日を追うごとに変化する味わいも楽しみの一つ。
最初は軽く、すっと口どけていたものが、時間と共に熟成して締まり、よりこっくりと濃厚な味わいになっていくので、自分の好きな熟成具合を見つけるのも良いかもしれません。
コーヒー、紅茶はもちろん、フルボディの赤ワインや日本酒とも良く合う北海道チーズケーキは、お酒好き、チーズ好き、バター好きの方にもおすすめ。

牧場ならではの贅沢な味わいで一度食べたらまた食べたくなる美味しさ。 是非お試し下さい。