まんじゅうと言えば、和菓子の中でも、最もポピュラーなもののひとつ。全国に数多くのまんじゅうが存在し、そのひとつひとつにさまざまな工夫がされ、人気のものがたくさんあります。
そんな数あるまんじゅうの中、「日本三大まんじゅう」と称されるまんじゅうがあるのをご存知でしょうか。2007年に三笠書房出版から出版された『日本の「三大」なんでも事典』という本に3つのまんじゅうが掲載され、それ以来、「日本三大まんじゅう」として広く知られるようになりました。
ひとつは東京にある塩瀬総本家の「志ほせ饅頭」。大和芋の皮で餡を包んだまんじゅうです。もうひとつは岡山県にある大手饅頭伊部屋の「大手まんぢゅう」。古くから伝えられる酒饅頭の作り方を継承した地元でも人気のまんじゅうです。そして3つ目が今回ご紹介する、福島県にある柏屋の「柏屋薄皮饅頭」です。

キレがよくて上品な甘みの餡
柏屋薄皮饅頭は、いまから約160年前の嘉永五年(1852年)、奥州街道・郡山宿の薄皮茶屋で生まれました。薄い皮でこしあんをたっぷりと包んだまんじゅうは、当時の東北地方ではめずらしく、あっという間に奥州街道を旅する人たちの間で名物となったそうです。
その名の通り、皮が薄く、餡がたっぷり入っているのが特徴ですが、皮は思ったよりもふっくらとしています。餡も多い割には甘さはしつこくなく、むしろひかえめ。この薄皮と餡のバランスがちょうどよく、それぞれがうまく混ざり合いながら口の中に広がっていきます。

餡は厳選された北海道産の小豆を使っており、こしあんとつぶあんの2種類があります。こしあんは口どけがよくさらっとした食感と上品な甘みで、食べ終わった後に舌の上に甘みが残らないキレのよさです。素朴な風味のつぶあんは甘さひかえめで、ふっくらとした粒の食感が楽しめます。
「ちょっと休憩」というときに食べたくなるまんじゅう
柏屋薄皮饅頭はもともとお茶屋で生まれたまんじゅうということもあってか、まさにちょっとした休憩のときに食べるとなんだかほっとした気分になります。ひとくちサイズの大きさは食べやすくてなんだかかわいらしく、たっぷり入っているのに口溶けの良い上品な餡も上手に気持ちを和らげてくれるのかもしれません。

そのまま食べてももちろんおいしいのですが、電子レンジで温めるか蒸し器で蒸すと、皮はよりふわふわになり、餡も少し甘みが増したおいしさになります。
飲み物はやっぱり緑茶が一番ですが、冷たい牛乳もおすすめ。食べやすいひとくちサイズということもあって、ほどよい甘さの餡と牛乳のまろやかな味わいで、つい余計に食べすぎてしまいそうになります。

あきられることなく長く愛されてきたこの味わいは、どんな世代でも好まれると思いますが、特に年上の方や子どもがいる方へのちょっとした手土産におすすめです。