
12月、年の瀬もおし迫る中、あたたかいものが恋しくなる季節ですね。そこで今回のおススメあんこ商品は、東京三田にある秋色庵大坂家(しゅうしきあんおおさかや)の秋色汁粉です。大坂家は、300年以上の歴史をもつ世襲技術を守りぬいてきた老舗で、当代で十八代目にあたる江戸生粋の和菓子店です。
かわいらしい千鳥あられが入った、つぼ型の懐中汁粉
秋色庵大坂家の商品名には、すべて「秋色」という言葉が入ります。これは江戸時代の女流俳人「秋色女(しゅうしきじょ)」の生家が大坂家であることに由来するそうです。彼女は、上野の寛永寺清水堂に咲く桜に結わえておいた自身の俳句「井戸端の 桜あぶなし 酒の酔」が当時の親王の目にとまったことで、世に知られるようになりました。
秋色汁粉はすべて職人がひとつひとつ手作りする懐中汁粉です。まず目をひくのがその形。和を感じさせる朱色の紙と紫色の紐で蓋をしてある大きな壷型の最中のなかには、乾燥させたさらしあんと、かわいらしくておめでたい紅白の千鳥のあられが入っています。

独自ブレンドされたあんは、やさしい甘さに少しの塩気がとてもバランスよく、わずかな片栗でとろみをつけつつも、さらっとして心地いい口あたりです。
来客の多い時期にもササッと作れて大満足のおやつに
実は懐中汁粉はその昔、夏場にお汁粉を作るのが暑くてかなわないということから、インスタントで楽に作れるよう開発されたという逸話があります。そして師走の時期は、どうしても忙しくなってきます。急な来客もしばしば。そんな時にも、秋色汁粉は、手間をかけずにササッと作れるので大活躍です。
作り方は簡単です。まず食べる前に器をしっかりと温めておきます。最中からあんと千鳥のあられを器に移し、熱湯を120cc程度、注ぎます。よくかき混ぜた後、最中を適当な大きさに割り、お汁粉に入れてできあがりです。お湯の代わりにホットミルクを使うのもおススメです。
大きくて分厚い最中の皮がお汁粉をたっぷり吸い込んで、口に入れた瞬間にじゅわっととろけます。最中の皮は米粉で作られていて、焦がしの香りがしっかりとつけてあるので、お餅代わりになり、もちもちとした食感で食べ応えがあります。小腹が減ったときのちょうど良いおやつにもなります。

年末の多忙な時期でも、大坂家の秋色汁粉なら手軽にほっと一息つけて、きっと心も体も温めてくれるでしょう。