芋代官のやさしい心が伝わる、清月堂『芋きんつば』/あんこ菓子のプロが推薦! vol.7

芋きんつば 皿のせ

秋といえば、芋・栗・かぼちゃ。焼き芋、栗ご飯、かぼちゃプリン……と、この時期になると、なんだか無性に食べたくなってしまう季節の味覚がたくさんあります。今回は、そんな秋にぴったり、一度食べたらやみつきになる美味しさの清月堂『芋きんつば』をご紹介します。

1940年創業、老舗和菓子店が作る一口サイズの『芋きんつば』

岡山県笠岡市にある和菓子店「清月堂」は、製餡技術を代々受け継ぎ、数多あるお饅頭屋の中では大変珍しい、自家製餡のあんこを使用して和菓子を作っています。

「清月堂」がある岡山県笠岡市は、全国唯一の「カブトガニ」の繁殖地として国の天然記念物に指定されている地域でもあるため、「カブトガニ饅頭」といったユニークな名菓も店頭に並んでいます。

そんな名物饅頭と共に人気なのが『芋きんつば』です。きんつばといえば、正方形のような四角、もしくは丸型を想像しますが、こちらは通常の四角いきんつばの半分、小ぶりです。手頃なサイズと素朴な見た目が、とても親しみやすく、老舗和菓子店のこだわりと優しさが詰まっています。

芋きんつば 皿載せ

水ようかんのような、つるっとしてなめらかな食感

原材料は、さつまいも、砂糖、寒天、水飴ととてもシンプルです。食べた瞬間に、さつまいも本来のうま味や香りが口の中に広がります。芋餡には、寒天が入っているので水羊羹のように瑞々しく滑らかな舌触りです。つるっとした感触が普通の小豆あんのきんつばと違い、食べ心地が良く何個でも食べたくなります。

芋きんつば 切って乗せ

さらに、芋餡部分をもっちりとした皮が包み込み、しっとりとまろやかで優しい味の『芋きんつば』に仕上がっています。

芋代官を偲び生まれた『芋きんつば』

実は清月堂の『芋きんつば』は、江戸時代中期、現在の島根県浜田市あたりで起こった享保の大飢饉から領民を救った井戸平左衛門正明を偲んで、笠岡市の威徳寺(いとくじ)のご住職から清月堂店主が依頼を受け、創作した和菓子です。

芋きんつば パッケージ

井戸平左衛門は、飢饉に苦しむ領民をみて、荒れた土地でも作ることのできるさつまいもの栽培を推し進めます。それでも飢饉から救いきれず、平左衛門はついに幕府の許しを得ることなく、蔵にあった年貢米を領民に分け与えました。このことがきっかけで平左衛門は笠岡の地に左遷され、責任をとって自害することとなったのです。

芋代官の庶民を想う温かい人柄は、「芋代官」として後世に語り継がれ、300年近く経った今でも姉妹都市である浜田市・笠岡市の人々に愛され続けています。心やさしい芋代官「井戸平左衛門正明」に思いを馳せながら、やさしい味わいの『芋きんつば』をぜひ味わってみてください。

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芋きんつば 皿のせ

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