
3月に入りました。三寒四温のこの時期は、冬の凛とした空気と春のかすかな息吹がまじりあう素敵な季節です。
今回ご紹介するのは、静岡県浜松市で今年150周年を迎えた老舗「巌邑堂(がんゆうどう)」の「花邑(かゆう)」という和菓子です。
真っ白な見た目でありながら、“花”という春を感じさせる言葉がネーミングされる、この時期にこそ味わってほしい逸品です。

純白のカステラ生地とこし餡のコントラストが美しい
たくさんの推しポイントがある花邑ですが、まずはその見た目の美しさ。純白のカステラ生地に色の濃いこし餡が挟まり、整然としたコントラストがとても魅力的です。
カステラ生地もこし餡も非常にキメが細かく、その美しい表層に思わずじっと見入ってしまいます。小サイズは縦横10cm×10cmの正方形、大サイズは10cm×20cmの長方形で、上面には店主が自ら筆をとった「花邑」の文字がシンプルに焼き印されています。
余計な装飾は一切なく、潔い威風堂々たるビジュアルが、さすが老舗の自信作と言えます。
浜松で100年以上続く老舗酒蔵「花の舞」とのコラボが見事な味わいを実現
花邑の最大の魅力と言っても良いのが、浜松の老舗同士のコラボ和菓子であるということです。
巌邑堂と同じく、浜松で100年以上続く酒蔵「花の舞」の大吟醸の酒粕がカステラ生地にふんだんに練り込まれています。ひと口食べた瞬間、芳醇で口当たりの良い酒粕の香りが口の中いっぱいに広がります。
大吟醸の酒粕は、シンプルにお米を絞っただけの真っ白なもので、通常は売られていない希少品です。これを半年間、冷蔵して寝かせることで、酒粕の豊かな風味を最大限引き出しているのです。

もちろん、こし餡も負けていません。小豆は、北海道の美瑛で収穫される希少品種「しゅまり」を使用し、白ザラ糖で煉りあげた自家製餡です。
しっとりキメ細かなカステラ生地にピタリと合わさる滑らかさも一級品ですが、それでいて存在感のある適度な食感と小豆の濃厚な風味が、なんとも老舗らしい誇りと気品を感じさせてくれます。
少し冷やして食べるのがおすすめ!
花邑は食べるときは是非、冷蔵庫で少し冷やしてから食べて下さい。ほのかに冷たい舌触りが、酒粕の豊かな風味とこし餡の上品な甘さをキリリと引き立ててくれます。
一緒に飲むのはやっぱり日本茶がおススメです。スッキリした浅蒸し煎茶がとてもよく合います。素敵な大人の御一服に、是非食べてみてくださいね!
