女子会にお取り寄せしてくれる海老菓子を作りたい――。そんな思いから生まれたのが、志満秀の「クアトロえびチーズ」です。
いままでのえびせんとは違い、薄焼きで口どけの良いえびせんとチーズの見事なハーモニー、カラフルな見た目、ユニークなネーミング、そしてワインにも合う新しいえびせんということで、2014年の発売以来、特に女性に人気で80万個以上を売り上げるヒット商品になっています。
チーズの特徴と合わせたカラフルな色合い
「クアトロえびチーズ」でまず目を引くのは、そのカラフルな色合い。
カマンベールチーズの黄色を表現した「カマンベール&ブラックペッパー」、ゴンゴンゾーラチーズがブルーチーズと呼ばれるところから青色になった「ゴルゴンゾーラ&ハニー」、チェダーチーズのオレンジを見立てた「チェダー&パルメジャーノ」、そしてバジルの色を模した「モツァレラ&バジル」といった、これまでのえびせんにはなかった色合いを表現しています。

この色合いのヒントになったのが、マカロン。かわいらしい丸い形とフレーバーに合わせた色合いが人気で、女子会などに持って行くとテーブルがぱっと華やぎ、話題も盛り上がりやすいスイーツの一つですが、新しいえびせんも4種のチーズのフレーバーに合わせた色合いにすることで、女性に楽しんでもらおうと思いついたそうです。
そしてこのカラフルな色合いを活かすために、パッケージは白を基調としたシンプルなデザインになっています。

実は発売前、社内では「ゴルゴンゾーラ&ハニー」の青色に対する反対意見が多くあったそうですが、発売してみるとこの青色が「クアトロえびチーズ」の一番の特徴になって、広く知られるようになったそうですよ。
口の中で同時に溶け合う、えびせんとチーズ
その色合いを楽しんだあと、口に入れると驚くのが、その口溶けのよさ。
サクサクとした食感のえびせんと、風味豊かなチーズが同じ速度で溶けていきます。文字通り、えびとチーズを口の中で一緒に味わえるのですが、この口溶けによる味わいがとてもクセになるんです。

ただ、「クアトロえびチーズ」の開発をはじめた当初は、この口溶けによるえびせんとチーズの一体感により、えびの風味にチーズの味わいが負けてしまい、どのチーズを挟んでも同じような味わいになってしまったそうです。そこで蜂蜜やブラックペッパー、バジルなどをそれぞれのチーズと相性の良い素材を組み合わせたレシピを開発。それぞれのチーズで深みのある味わいを実現しています。
クセがなくまろやかな味わいのカマンベールにはブラックペッパーを合わせることで気持ちのいい刺激が加えられ、香り高いゴルゴンゾーラには蜂蜜を合わせることでコクのあるおいしさがクセになりそう。2種類の濃厚なチーズを合わせた「チェダー&パルメジャーノ」は赤ワインとの相性が抜群ですし、ミルキーでクセのないモッツァレラには、バジルのさわやかな香りと味わいがマッチしています。

そしてえびせんに使われている小海老の一部は、志満秀の会社の近くに広がる「燧灘(ひうちなだ)」と呼ばれる魚場で獲れる新鮮なもの。「燧灘」は潮の流れが緩やかで海底が砂地になっているので、海老の殻が柔らかく身がたっぷりと詰まっていて、小海老としては最高の品質と評されています。
志満秀の伝統を受け継ぐ職人が、その新鮮な小海老の頭を一匹一匹、手作業で取り、加工することで、薄焼きでありながらえびの風味を失わず、チーズといっしょに口の中で溶ける特別なえびせんになっているのです。
いままでにないえびせんべいを作り続ける、新しい老舗
今回ご紹介した「クアトロえびチーズ」は、その見た目とおいしさから、2017年8~9月にはANAの機内販売に採用されたり、新幹線、美術館など、さまざまな場所での販売やコラボレーションも積極的に行っています。2017年末には三越伊勢丹と、東京国立博物館のコラボ商品の販売も予定しているそうです。

香川県で、素材の味を活かした伝統的な海老煎餅づくりを60年以上も続けてきた志満秀。今後も、伝統に甘んじることなく、伝統を生かしつつ時流にあった新しい商品を作り、さまざまなシーンで私達を楽しませてくれそうです。