
日本全国のおいしいお取り寄せパンの中から、いまおすすめのパンをご紹介するこの連載。第22回目は栃木県那須塩原市にあるKANEL BREAD(カネルブレッド)より、「カネルのおまかせパンセット」をお取り寄せしました。
大切に育まれた素材の個性を活かす、ファンも多いパン屋さん
「パンを購入するお客さまと共に、原料の食材をつくる生産者の方にも喜んでもらえるベーカリーでありたい」という思いを持つKANEL BREAD。
品種、産地、風土など、違う物語の中で育まれた、それぞれの素材の個性と向き合い寄り添いながら、その特性を引き出すことを大切にしていらっしゃいます。つくり手や大地との繋がりを感じてもらえるような、そんなパンを毎日焼いているのです。
バランスのよい、その日焼き立ての選りすぐりのパンセット
カネルのおまかせパンセットは日にち指定はできないのですが、注文より1週間以内の発送とのこと(2021年3月)。私は注文の2日後には発送、3日後に到着しました。
中身はおまかせとなっており、食パン、ハードパン、お食事パン、おやつパンなどバランスよくお値段分入れて頂けるそうです。中身が分からない分、箱を開けるまでのワクワクがとまりません。
なんとも可愛い、白く洗練されたデザインのダンボール箱で届きました。配送は通常便、冷蔵便、冷凍便と選ぶことができます。商品ページの下部に、それぞれのメリット・デメリットが書いてあるので大変選びやすかったです。私は今回、冷凍便にしました。

中身はこちらの9点でした!

すごいです! とても贅沢で大感激しました。箱からどんどんおいしそうなパンが出てくる喜びは、パンセットならではですね。
個性豊かでありながら、それぞれ抜群のおいしさを生み出すのは見事
写真の上にあるものが「チーズフォカッチャ」、そして左から「ロデブ」、「山葡萄とオレンジ」、「湯種食パン」です。

チーズフォカッチャはチーズの油分がさらっとしていて決してしつこくなく、最後にピリリと黒胡椒が利いてくるのがアクセントになり、どんどん食べ進めてしまいます。
ロデブは水分量がとても多いため断面が穴ぼこになるもので、ハード系でありながらこのみずみずしさにより、どなたにでも食べやすいパンかと思います。皮の香ばしさと、噛めば噛むほど小麦の味が感じられるのがシンプルながら好きでした。
山葡萄とオレンジは、有機のレーズン・カランツ・オレンジピールがたっぷりと使われており、どこを食べてもフルーツの味が感じられるのは贅沢でした、トーストすることで小麦の香りとこれらの甘みがより引き立ちます。
そして湯種食パンですが、湯種法を用いて小麦本来の甘さを引き出しているとのこと。耳はサクサク、もちもち噛み応えがあります。湯種法はこのもちもち食感で、最近人気も高いですね。バターの味もしっかりと感じられて、本当においしいです。
そしてこちらは手前から「白ぶどうパン」、「あんバタ―サンド」、「塩バターロール」、「ブラウンシュガードーナツ」、「ホエイのイングリッシュマフィン」です。

白ぶどうパンのぶどうはサンマスカットレーズンで、一口ごとにレーズンが味わえるほどたくさん入っているのが嬉しいです。甘みもありながら上品な酸味があと味をスッキリさせます。
あんバタ―サンドは、室温で戻すことでふんわり感がよみがえりました。あんこが優しい甘さでとってもおいしいです。こちらは顔の見える農家さん直送の、北海道産「えりも小豆」が使われているそうです。バターもあっさり目ながら感じる塩味と小豆の甘さが、パンと相性抜群でした。
そして塩バターロール。このセットで一番はじめに食べたのですが、これでこのお店のすごさが分かるほどおいしかったです。バターの味はしっかりあるのですが決してもたれるようなものでなく、パンの甘味とシンプルなバターロールながらの塩味がとてもマッチしていてなんとも美味しいです。
ブラウンシュガードーナツは、家族と分け合うことなく一人で平らげてしまいました。奄美の素焚糖がとてもおいしく、トーストで表面がサクサク中はしっとりもちもちなのが大変よかったです。油を感じない優しい味で、隠し味に自家製酵母が使われていることで口溶けよくしっとりとなめらかになるそうです。
最後にホエイのイングリッシュマフィンですが、こちらトーストすることで外はカリッカリ、中はふわふわ。ホエイはチーズや乳製品との相性がいいそうなので、是非サンドにしてみてください。
KANEL BREADらしさが伝わる、ホエイを使ったパン
カネルブレッドのある栃木県の那須エリアは酪農家さんが多く、チーズ作りも盛んだそうですが、そのチーズ作りの過程で副産物としてでるのがホエイです。
このホエイは行き場がなくほとんどが廃棄になるそうです。そのホエイを、パンを仕込む際に使う水と置き換えて作られたのが、ホエイのイングリッシュマフィン。
栄養価やおいしさ、酪農の新たな価値の創造など、利点はたくさんあります。生産者の方にも喜んでもらい、素材の特性を引き出すことを大切にしている、KANEL BREADらしい取り組みだと感じました。
これから「ホエイブレッドシリーズ」の展開もあるようで、応援するとともに、またおいしいパンが増えることが楽しみでなりません。