ほっと一息つきたいときに飲みたくなるコーヒー。自宅で簡単に美味しく淹れられたら、コーヒーのある暮らしがもっと楽しく、うれしくなりますよね。そこでこの連載では、そんな暮らしを過ごすためのコーヒーの淹れ方や楽しみ方をご紹介していきます。今回は、自宅でも美味しいドリップコーヒーの淹れ方をタリーズコーヒーのコーヒーマスター青嶋真司さんに教えていただきました。
まずはおさらい!「ドリップコーヒー」とは
「ドリップコーヒー」とは、“コーヒー豆を挽いて作ったコーヒーの粉に、お湯を注いで淹れた(ドリップした)コーヒー”のこと。コーヒーメーカーを使っても、ドリッパーを使っても「ドリップコーヒー」です。
ハンドドリップで淹れる、美味しいコーヒーの作り方の基本
まずは必要な器具を用意します。
・ドリッパー
・ペーパーフィルター
・コーヒーケトル
・お湯
・コーヒー粉
1. ドリッパーにフィルター、コーヒー粉をセットします
フィルターはドリッパーから浮かないよう、底面と側面が互い違いになるように折ります。
粉は1杯分(150~200cc目安)に対して10g、そこに+αで数g足すと、しっかりした味わいのコーヒーを淹れられるのでオススメです。
粉を入れた後、ドリッパーを軽く揺すったり、トントン叩いたりしてできるだけ平らにならすと、全体に満遍なくお湯が行き渡り、抽出ムラがなくなります。
2. 蒸らしを行います
真ん中からそっとお湯を注ぎ始め、円を描きながら少しずつお湯をかける範囲を広げていきます。全体の表面を湿らせるイメージで、注ぎ過ぎないように気をつけてください。注ぎ終わった後、ドリッパーからコーヒーが数滴ポタッ、ポタッと垂れてくるぐらいの量が理想です。
そのまま30秒~1分程置いておきます。この蒸らしの間にコーヒー粉がお湯を吸って、美味しい成分が取り出しやすくなりますので、焦らずしっかりと蒸らしてあげましょう。
3. お湯を注ぎます
蒸らしと同じように、真ん中から少しずつ円を描きながらお湯を注ぎます。500円玉ぐらいの大きさの円を描くイメージで、周りのフィルターにお湯がかからないようそっと注いでいきます。ポットの注ぎ口から真っ直ぐにお湯が落ちるよう意識しながら、注いでいきましょう。
この時フィルターの周りに粉が張り付き、層を作ってくれます。これは「土手」と言って、粉の抽出フィルターの役割をはたしてくれるので、土手にお湯をかけないよう注意して注いでいきます。
また表面に白っぽい細かい泡が浮いてきますが、これは「アク」のようなものです。雑味やえぐ味が混じってしまうので、サーバーに落ちないよう、ドリッパーには絶えずお湯がある状態を保ってください。
4. ドリッパーを外します
抽出したい量まで抽出が終わったら、先ほどの泡が落ちないよう、ドリッパーにお湯が残った状態のまま外します。抽出終わりに近いコーヒーは薄くて、出涸らしのような状態になってますので、遠慮なく外してください。
5. サーバーを回して味をなじませます
抽出後のコーヒーは、底の方が濃くて上の方が薄い状態になっています。サーバーを回して、コーヒー全体の味を均一になじませてあげます。スプーンなどでかき混ぜても大丈夫です。
これで、美味しいコーヒーの出来上がりです!
コーヒーマスターが教える!美味しいドリップコーヒーを淹れるポイント
【ポイント1】お水は軟水で!
苦味が強く出る硬水に対して、軟水で淹れたコーヒーはまろやかで口当たりが良くなります。ミネラルウォーターや、浄水器を使用した水道水がオススメです。
【ポイント2】お湯の温度は90℃前後で!
一般的にコーヒーは、抽出時の温度が高い程苦味が強く出て、温度が低いほど酸味と甘みの際立った仕上がりになります。苦味を強くしたい時には~95℃、すっきりさせたい時には85℃程度のお湯を使うと良いでしょう。
【ポイント3】器具は必ず温める!
ハンドドリップでコーヒーを抽出していくと、抽出中に少しずつコーヒーの温度は下がっていきます。あまり温度が下がってしまうと味わいにも変化が生まれてしまうので、抽出する直前まで器具はお湯で温めておきましょう。忘れがちですが、飲む直前までカップもしっかり温めておいてください。
コーヒー豆が余ったときの保存方法、4つのポイント
コーヒーは生鮮食品です。鮮度が命なので、保存する際は以下の4つのポイントに気を付けてください。
・COOL:できるだけ涼しい所に保管します。匂いが移ってしまうのを防ぐ為、冷蔵庫は避けてください
・DRY:湿気が当たらないよう、乾燥した場所に保管します
・DARK:直射日光の当たらない、薄暗い場所での保管をオススメします
・AIRTIGHT:酸化を防ぐ為、密閉できる容器を使用してください
タリーズでは上記のポイントの頭文字を取って、「CDDA」と呼んでいます。旅行などで長期間保存しなければならない時は、冷凍庫での保存もOKですが、いずれの場合でも、開封後はできるだけ早く使い切ることをオススメします。
ドリップコーヒーにおすすめのコーヒー豆
■ブラック派にオススメ!
・ハウスブレンド:マイルドでバランスの取れた味わい。クセがないので迷った時にはコレ!
・ブラジル ファゼンダバウ:パートナー農園であるバウ農園のブラジルコーヒー。ナッツのような香ばしさと濃厚な甘みが特徴です!
■カフェオレ派にオススメ!
・カフェオレモナーレ:ミルクとの相性が抜群!花のような甘い香りが広がります。
・エスプレッソクラシコ:タリーズのドリンクにも使用。ミルクに負けないリッチな味わいと甘み。
■こだわり派にはコレ!
・ピッコロバンビーノ:すっきり目のブレンドですが、お湯の温度を高くするとチョコレートのようなフレーバーが出てきます。淹れ方によって様々な味わいを楽しめます。
・ケニアキング:アフリカのコーヒーらしい華やかな香りと芳醇な甘み。名前の通り王様級の味わいです(※季節により、取扱いのない場合があります)。
美味しいドリップコーヒーを淹れるために必要な道具
■コーヒーミル
手挽き、電動どちらでも大丈夫です。手挽きは淹れる工程がイチから楽しめ、電動は短時間で挽ける為手間がかかりません。できるだけ粒度にバラつきがでないものを選ぶと良いでしょう。手挽きのミルの場合、挽いたときの摩擦熱による味わいの変化を防ぐ為、ハンドルをゆっくり回しましょう。
■ドリッパー
形状により味わいの傾向が変わります。
・1つ穴:じっくりと抽出される為、比較的濃い目の味わいになります。
・3つ穴:淹れ方により味わいが変わるので、味の幅が広い道具。慣れてくると任意の味に近づける事ができます。
・円錐型:ややすっきりした味わいが特徴。抽出に慣れていなくても全体に満遍なくお湯が行き渡る形状になっています。
・メタルドリッパー:フィルターいらずで手軽に楽しめます。ペーパーに比べてコーヒーの持つオイル分が多く抽出されるので、コーヒーが持つ本来の味が楽しめ、滑らかな口当たりに仕上がります。
■ペーパーフィルター
さまざまな形、大きさのものがあるので、使用するドリッパーに対応したものを選びましょう。
■コーヒーケトル
お湯を細く注ぐ為、専用のケトルがあると便利です。注ぎ口が細くなっていて、湯量のコントロールがしやすい物がオススメです。
■メジャースプーン
コーヒーの分量を量るために使用します。こちらも様々な形状の物があるので、お好みで選びましょう。
■温度計
お湯の温度を測るときにあると便利です。ない場合は、沸騰したお湯をケトルに移すと、だいたい90℃近くになります。別容器に移すごとに約10℃下がりますので、調整の目安としてください。
(写真提供:タリーズコーヒージャパン株式会社)